こりゃうまい!街場の隠れヒットメニュー新発見(2)シシカバブ
「金髪」。生まれながらの美しい黒髪を、何故金色に染めねばならないのか? どうも今の日本人はおかしい。ワールドカップ以来、われわれは日本人であることを忘れてきてしまったのではないか…? とぼやきつつ、居酒屋で一杯飲んでいると店主が、
「お客さんが酒のつまみにしている、その焼き鳥みたいなやつだって、トルコ料理のシシカバブですよ。ほかに、カルパッチョ、ガーリックサラダ、生春巻にしたって日本のものじゃありませんよ。でもこれが売れるんですよ。居酒屋の料理でさえ世界的になっているのだから、日本全体がグローバルになるのは時代の流れ。致し方ないんじゃないですかね、お客サン」
スパイスが効いてうまいなと思っていたこのつくねのような焼き串が、トルコ料理のシシカバブ…。なるほど、こんな場末の居酒屋にまで、グローバル化の波が押し寄せてきているのか。
トルコ料理は、「世界三大料理(中国、フランス、トルコ)」の一つである。前菜のメゼ、そしてスープ、サラダ、肉料理、地中海の食材を生かした魚料理、最後に甘いデザート、これがトルコ料理のフルコースだ。
その中でも特に、独特のスパイスで肉の臭みを消した、シシカバブに代表される肉料理はトルコ料理の代表選手である。カバブ=いわゆる焼き鳥(焼き羊)は、イスタンブールでの市街地では、このシシカバブに、大盛りの野菜とピラフがついて四〇〇円くらい。ちなみに、ピラフはトルコが発祥地。それに蒸留酒ラク。シシカバブは、パプリカ(ししとう)と一緒に、ナン(インド料理に出てくる小麦粉を溶いて焼いたもの)に包んで食べる。
日本の焼き鳥もシシカバブが元祖だという。アジア各地、中央アジア一帯、イスラム圏全般で食べられている。トルコの至るところで見かける光景だが、食堂の軒先で羊を丸ごと炭火で焼いている。辺り一面は、焼けた肉のにおいでいっぱい。シシカバブを注文すると、焼きたてを持ってくる。スパイスが効いた羊肉のバーベキューと、少し辛みのあるパプリカを挟んで、ナンをちぎって包んで豪快にかぶりつく。
それが、トルコ流シシカバブの食べ方だ。
((有)日本フードサービスブレイン代表取締役・高桑隆)
◆「凛々家」=東京都武蔵野市境南町二‐一‐六
◆トルコ料理の代表選手「シシカバブ」
■材料/ラム肉、玉ネギ、ニラ、チリペッパー、ニンニク、コリアンダー、クミン、塩コショウ、バター、パン粉、牛乳、卵、ナツメグ、レモン汁
■調理法/ラム肉を包丁でたたきミンチ状にする。ボールに刻んだニラ、ミンチ、各スパイスを入れ手でこねる。レモン汁を絞る。粘りが出るまでこねたら竹(平べったい大きめのもの)に刺す。適当な大きさに塗りつけていく。網で焼くのもOKだが、たき火の近くに刺して遠火の強火でじっくり焼く。