新アイデア「冷やし中華」メニュー研究 創意工夫で強力な差別化

1993.06.07 29号 16面

冷し中華といえば、一般的にゆで上げた麺を冷水で冷し、それをそれぞれ異なった中華のたれと具で食べさせるのが、最も基本的な型といえる。その決まり切った型のものを、どう変化させるかといった工夫が必要である。

従来の冷し中華は、決まり切ったような形でキュウリの千切りや薄焼き卵の千切り、ロースハムの千切りといったものを、きれいに並べ、味はからしや醤油、ごま油などを使用、からしのピリッとした感じを夏の味として楽しんできた。

しかし、昨今の食材の変革は飲食業界全般の変革を余儀なくしている。

食べものの世界にも厳然とした本格派も存在するが、これが本格的なもの、こうでなければならない、それは邪道である、といった考え方は、これからは、ますます薄れていくものとみられる。

新しい時代は、新しいアイデアを豊富に盛り込んだ新しいタイプの食物を求めている。

飲食業界でも、それに対応した新しい感覚の商品開発が求められている。つまり、昨今は、冷し中華にしても、このように作らなければならないといったパターンを打ち破って新しい冷し中華メニューを開発しなければならない。

《具材》 そこで新しい冷し中華メニューについて考えてみると、まず麺の上に乗せる具材だが、これは、どんなものを用いてもよいが色や型、バランスの配分がどうなるかが問題になる。

《●魚介類●》 最近、和、洋食でもてはやされている魚介類の使用を考えると色どり、型の面からも調理後の食品の変化についてみても、おおいに取り入れるべき素材といえる。

白くゆで上げられているリング状のイカ、ゆでて薄切りにしたタコ、殻つきのあさりやムール貝、ほたての貝柱など冷たくても味の落ちない素材として考えてみる必要がある。もちろん赤色のゆでたエビやカニは落とすことのできない素材である。これらは豪華さの演出になる。

《●肉類●》 また、肉類もゆでた鶏肉を細かくほぐしたもの、牛肉のたたきや千切りにしたものと、どれをとっても変化のある冷し中華の具として、それなりの効果を持ちオリジナル商品としての価値を高めることになる。そのほか、卵や季節の野菜を色どり良く仕上げ、しかも食べやすい切り方を考えれば、素晴らしい商品開発ができる。

《●野菜●》 また、野菜のもつ素晴らしい赤や緑を生かした盛りつけや、持ち味を生かしたもの。洋食でのみ使われる材料だ、などと決めつけないで、洋風の材料も和風の山菜のような材料とともに工夫によって、生かしきることが可能である。

《 》 材料のみではなく、冷たい麺をいかにおいしくするかといった面から大切なのはつけ汁やたれである。

《●香辛料●》 最初に考えなければならないのは清涼感に大きくかかわる香り、香辛料である。

わさびやからしなどのピリッとした感じは独特の涼しさをさそう。ツンと鼻に抜ける強い香り、涙の出るほどのからしの香りは涼感の大きな要素の一つである。

《●味の変化●》 味についても従来の冷やし中華などの醤油や砂糖、塩、ごま油などと異なったもので、冷たいスープ状のものやソースなどを中華麺にいかに組み合わせるか、また、麺以外で本来の中華料理で使っているもので冷たくなっても極端に味の変化のないものを選んだり、本来、冷たく仕上げるものを具として麺の中央部に山高に盛り上げるなど、レパートリーは果てしなく広がる。

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