飲食トレンド:注目の南国野菜「青パパイヤ」 おしゃれでヘルシーで美味
南国生まれの果実、青パパイヤの人気が急浮上している。黄色く熟せばフルーツ、未熟な青いものは野菜用と無駄がない。日本では古くから沖縄県でも栽培し食されてきたが、ここにきて栄養化や脂肪を燃焼する酵素などが話題になり、美容と健康に良い食材として、またアジアのおしゃれな野菜として、トレンドセッターである女性たちの注目の的なのだ。沖縄では「ポスト・ゴーヤ」の呼び声もかかり、生産に力を入れ始めている。
(阿多笑子)
東京・青山のスーパーマーケット「ナチュラルハウス」。食のトレンドに敏感なこの店にこの夏、珍しい青いパパイヤがお目見えして注目を集めた。店頭に山積みされたパパイヤは、小玉サイズが一個五五〇円と決して安くはないが、手に取ってみる女性は多く、売れ行きは「予想の二倍」という。
六本木にあるベトナムレストラン「CYCLO」でも、この春から「青パパイヤのサラダ」が売れ出した。一日の注文数が三〇食と、ベトナム料理の一番人気メニュー「生春巻き」に並ぶヒットを更新中だ。
「青パパイヤの酵素がダイエットに効くなど、メディアに取り上げられたのがきっかけでは」と料理長の中塚雅之氏。
青パパイヤをむいて千切りにしたサラダは、ベトナムではポピュラーな料理。シャキシャキとした歯ざわりと清涼感は、これまでの食材にはない魅力とおいしさだ。おしゃれなイメージもあり、現地で青パパイヤ料理を体験した女性たちも、ブームをあと押しする。
スーパーの惣菜でも使われ始めた。イトーヨーカ堂では6月から「二〇品目の青パパイヤサラダ」をカット野菜コーナーで発売した。「出だしから売れ行きは好調」という。千切りサラダはボリューム感もあり、野菜をたくさん食べたいという女性のニーズとも合致する。
さらに青パパイヤが注目される背景には、近年の沖縄ブームがある。銀座の沖縄物産館「わしたショップ」には、珍しい食材、健康に良い食材を求めてくる買い物客が後を絶たない。その一角に青パパイヤもある。
NHKの人気ドラマ「ちゅらさん」で料理の監修役を務め、沖縄料理ブームの火付け役となった銀座の沖縄料理店「ZEN」の尚承氏は、「沖縄でも昔から青パパイヤは普通に食べられている」と言う。
代表的なメニューは、ゴーヤ・チャンプルならぬ「パパイヤ・チャンプル」という千切りにした青パパイヤを炒めた料理だ。こちらもシャキシャキの残る独特の食感。ZENをはじめ、沖縄料理専門店では昔からメニューに載せているところが多いが、「今春から注文が多くなったね」(尚氏)と言う。
青パパイヤの素材としての特徴は、ゴーヤと違って、果肉そのものにあまり味がないことだ。しかしその分「汎用性が高い」と前述のベトナム料理の中塚氏は語る。
「ベトナムの生春巻きがこれほどはやったのも、皮で何でも包み込めるから。いろんな具材を入れたアレンジが登場した。青パパイヤは無垢で香りがない分、和風でもアジア風でもあらゆる調味料、どんな食材とも合い、合わせるものによって香りも出る面白い食材」
ベトナムでは、モヤシや白菜のように日常の野菜として青パパイヤをさまざまな料理に使う。調理法もサラダや炒め物以外に、ダイス状にカットして、トウガンのようにスープや煮物、揚げ物にもできる。
◆増産ムード高まる沖縄、ベトナムからの冷凍輸入も
注目され出したことを受け、「ポスト・ゴーヤを狙え」と沖縄も動き出した。現在国内で流通している青パパイヤはほとんど沖縄産。「最近青パパイヤの生産に意欲を示す生産者が増えた」(沖縄県農業試験場)とのこと。しかし本土ではまだ食べ方が認知されていないため、それが課題。丸のままでは使いづらいという声も受けて、「カット出荷ができないか、機械に合う品種を選定中」だ。
ベトナムの現地で加工、冷凍した「カット青パパイヤ」を輸入する企業もでてきた。「国産に比べても品質に遜色はなく、価格は半額以下。しかもカット済みなので使いやすく、安定供給できる」とオーシャンワークスの橋本清次氏。
ヘルシーで女性に受けやすいだけでなく、料理の汎用性も高いと評価されている青パパイヤ。これから飲食店のメニューに登場してくるのは間違いない。さらに長い目でみれば、「一過性のブームではなく、食材として一般に定着する要素は十分にある」とみられている。
◆沖縄の健康野菜 ダイエット効果、女性の関心引く
沖縄の健康食品といえば、ゴーヤやウコンが有名だが、パパイヤもそれらに匹敵する健康野菜として昔から食べられている。
青いうちに野菜として消費されるケースが多く、炒め物、サラダ感覚のあえ物、漬け物などに調理される。また、肉を軟らかくする効果があり、肉料理にも多く使われる。
パパイヤの効能としては、「産後の体力回復や母乳の出を良くする」とか「心臓病に効果がある」などといわれてきたが、昨今は、パパイヤに含まれる各種酵素の解明が進み、「ダイエットにも最適」という点に注目が集まっている。
青パパイヤには「パパイン」と呼ばれるタンパク質消化酵素が含まれる。この「パパイン」は消化を助けるほか、肝臓機能障害、アレルギー、アトピー、糖尿病への改善効果があり、脂肪分解機能があることからダイエットにも効果があると考えられている。
パパインのほか、肥満抑制に効果のあるサポニン、抗酸化作用、ガン抑制作用のあるタンニンを含む。また、ビタミンCも多く含み、完熟した果実はカロチンを多く含む。
(HP引用:石垣島パパイヤオンライン=http://www.i-papaya.jp/intro.htm、ダイエットオンライン=http://diet.apricot.co.jp/method/papaya.html)