トップインタビュー ジェフグルメカード代表取締役社長・富田昭平氏

1993.06.21 30号 3面

‐‐日本フードサービス協会(JF)を母体に会社が設立して六ヵ月ですが、いかがですか。

富田 ジェフグルメカードは法人向けを中心にこの3月期(実質四ヵ月)で目標の三億二〇〇〇万円に対し、二八%増の四億一〇〇〇万円を売上げました。家族全員で楽しめる新しいギフト券という目新しさも手伝って、ギフト券マーケットでテレホンカード、ビール券などからもシフトしています。現在は中元商戦真最中でこれまで取引きのあった法人のリピート利用、新たに百貨店の外商部門との取引きなどを中心に売上げ目標三億円で展開しています。これまで外食産業はギフト市場を横目で見てきました。グルメカードで外食を“ギフト化”したことにより、新分野参入が実現でき、長年の夢がかなったという感じです。スタート時の利用店は一万二〇〇〇店でしたが、徐々に増えておりまして、年内には一万五〇〇〇店になる見込みです。

‐‐今後の展開は…。

富田 今年(九四年度)は一四億円の売上げを目標にしています。将来は、図書券が六〇〇億なので、その二分の一の三〇〇億をめざしています。JF加盟店の売上げが三兆円なので、その一%で三〇〇億。一%までは取り込みたい。五年後ぐらいに三〇~四〇億になり、はずみがつけば三〇〇億達成は早いと思います。今はまず法人を中心に開拓しています。まずは、消費者に法人からギフトで送られたものを使ってもらう。使えば良さが分かってもらえると思います。

‐‐外食店の売上げは前年の九七~九五%といわれていますが、どう思われますか。

富田 大阪万博のあった昭和45年が外食元年といわれていますが、それから二十余年たって新鮮味がなくなってきました。あるアンケートでもFRの利用理由は駐車場が広くて便利という回答が多かった。売り物の料理に魅力がなくなっているんです。売上げが落ち込んでいるのは不況だけの理由ではないのです。外食産業も内部的イノベーションが必要だと思います。

‐‐たとえば…。

富田 サービスの低下、品質・ボリュームダウンはもってのほかです。消費者にはすぐわかってしまうんです。量と質を落とさず、なおかつ値上げをしない。そこが勝負どころです。たとえば、今、どんぶりがブームですが、値の下がっているエビを使用すると値上げしなくてもボリュームアップできます。

他に、食材の生産者と材料調達でち密な連絡をとることも大事です。作り過ぎても、足りなくても困るんです。また、どこで処理して、どう選別してという裏の工夫がまだまだあると思います。

‐‐店舗の生き残り戦略は何でしょうか。

富田 たとえば衰退している喫茶店は消費者構造が変わったのに旧態依然としている。牛どんの吉野家は利用客のほとんどが男性客だったんですが、最近、女性を意識した店舗を出してきました。お客の行動をしっかり把握してニーズに対応していかなくてはいけません。しかし、注意しなくてはいけないことは、トレンドに乗るのはいいんですけど、流行(ファッション)に乗るのはダメです。流行は花火のようにすぐ消えてなくなってしまいますからね。 (文責・福島)

〈取材メモ〉富田昭平社長は日本ケンタッキーフライドチキン草創からこの道ひと筋。「グルメカードは生まれたばかり。親が立派だから、立派な子に育つはず……」とグルメカードの母体である外食産業界を二十余年にわたってリードしてきただけに、子供の成長は楽しみなようである。

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