売れるメニューのヒント:弁当編 東京(1)

2005.12.05 308号 10面

○温度帯を工夫し単価アップ

◆サーモンのクリームパスタ(288g/898円)

●RF1(東京都台東区花川戸1-4-1 松屋浅草店内)

サーモン、クリームソース、カイワレ、ラディッシュ、オニオン、水菜、スパゲティ。

作り方は、(1)カップの野菜を取り出す(2)パスタを電子レンジで温める(3)温めたパスタと取り出した野菜をからめる、といった手順。冷たいフレッシュ野菜が入っているので、味わいと食感がユニーク。サウナの後に入る水風呂のように、熱いパスタに混ざった冷たい野菜のシャキシャキ感は絶品だ。温度帯を工夫して素材感を生かせば3倍近い高単価でも売れる、という好事例だ。

○存在感も十分なトッピング

◆焼上げピザ(292g/525円)

●カイゼルハム(東京都台東区花川戸1-4-1 松屋浅草店内)

薄切りロースハム3切、バジル風味の薄焼きピザ。

普通のピザならば、ハムは細かく刻んで全体に満遍なく敷きつめるが、この「焼上げピザ」の場合はスライスハムをそのまま3枚乗せている。実はこのピザはハム店がランチタイムにショーケースの前で販売しているサービス品。いわば精肉店が夕方に売るコロッケみたいなものだ。わざわざ手間をかけなくても、そのままトッピングした方がシンプルで存在感があり、本業のPRにもなるという好事例。

○小柱のせで好感度もアップ

◆プリプリ小柱弁当(526g/913円)

●柿安ダイニング(東京都台東区上野3-29-5 松坂屋上野店内)

ホタテご飯、煮物(カボチャ、ニンジン、コンニャク、インゲン、きんちゃく)、春雨サラダ、小松菜のおひたし、だし巻き卵、サケの塩焼き、イカ焼き、山芋の天ぷら、きんぴらゴボウ、ナス炒め、桜漬け、白飯。

全体の1/3の白飯スペースが普通の白飯だけだったら、600円前後の「幕の内弁当」だ。ところが、白飯の上に6個の小柱を整然とトッピングしてグレードアップ。一瞬「16個仕切り弁当?」と見間違えるほどの豪華に仕上げ、900円を超える高単価を実現。小柱がなければ小梅やソラ豆を奇麗に6個トッピングして、インパクト、好感度、単価を上げたいものだ。

○野菜豊富でヘルシー感兼備

◆スタミナ丼(342g/500円)

●吉池放心亭(東京都台東区上野3-20-1)

豚肉、ニンニクの芽、ゴーヤ、ニンジン、玉ネギ、長ネギ、サニーレタス、白飯。

「スタミナ丼」という商品名は星の数ほどあるが、内容が名前負けしている例も少なくない。その点この「スタミナ丼」は、栄養満点の豚肉、ニンニクの芽、ゴーヤがタップリ入っているので、名前の通りスタミナがつくことは明らかだ。しかも緑黄色野菜が豊富で、ヘルシー感も兼ね備えている。スタミナにヘルシーが加わったことにより、内容が名前に勝った好事例だ。

○口の大きさに合わせ自在に

◆六連パリパリ餃子(214g/567円)

●香港菜館(東京都台東区花川戸1-4-1 松屋浅草店内)

薄皮一口サイズ餃子18個。

皮のパリパリ感を出すために溶かした小麦粉を加えて焼かれているので、小さな餃子が6個ずつつながっている。最近はよく知られたテクニックだが、この焼き方には別の効用がある。一口サイズの餃子を食べる時、女性は1個ずつが丁度よいが、男性は物足りない。このつながった餃子は、2個でも3個でも切り取れるので、洋服のサイズのように最大6個まで自分の口の大きさに合わせて食べることができるのだ。

○素材ごとのバラバラタイプ

◆天ぷら秋畑(386g/525円)

●天一(東京都中央区銀座4-6-16 三越銀座店内)

エビ、ホタテ、三ツ葉、イカ、サツマ芋、紅ショウガ、マイタケ、シメジなどの細かい天ぷら、白飯。

一見、ビッグサイズのかき揚げが乗った天丼に見えるが、実は素材ごとに揚げられた小さな天ぷらの集合体。このバラバラタイプのかき揚げは、はしの通りが良く、一般的なかき揚げと比べて食べやすい。また、一般的なかき揚げの場合、嫌いな素材が入っていても我慢して食べなければならないが、バラバラタイプは嫌いな素材を簡単に外せる。これからの「かき揚げ天丼」は、自由自在のバラバラタイプが主流になるかもしれない。

○欠点カバーするソースかけ

◆日替り弁当(590g/525円)

●アイ・ダイニング(東京都中央区銀座4-6-16 三越銀座店内)

オムライス、ポテトサラダ、春雨サラダ、鶏の唐揚げ、牛肉のショウガ焼き、アスパラベーコン巻き、レタスサラダ。

このオムライスは、トマトソースを上からではなく両端にかけているので中央部分の黄色がとても美しい。また、四角や丸形の容器だと「両端が尻すぼみになってボリューム感に欠ける」というオムライス特有の欠点をも同時にカバーしている。その上、両端にたまったトマトソースは、他のおかずのたれとしても使いやすい。オムライスの(1)見た目(2)ボリューム(3)味の三大要素をアップする“画期的なソースのかけ方”である。

○売り手も買い手もおいしく

◆すき焼丼(312g/480円)

●吉池放心亭(東京都台東区上野3-20-1)

すき焼き(牛肉、長ネギ、焼き豆腐、白滝、春菊)、白飯。

この「すき焼丼」は、焼き豆腐や春菊を加えて、卵は鍋には入ってないなど、すき焼きの特徴をリアルに再現し、牛丼との差別化を図っている。その結果、買い手には、牛丼に比べて野菜や豆腐が多いのでヘルシー、売り手には差益が良い、という「両者おいしい丼」になった。しかも売り手にとっては、具材を肉豆腐として再販することもできるので「2度おいしい丼」でもあるのだ。

○付加価値付けて30円アップ

◆海苔ごはん(192g/180円)

●吉池放心亭(東京都台東区上野3-20-1)

海苔、葉唐昆布、醤油、白ごま、白飯。

単なる「海苔弁当」のおかずなしバージョンと見くびってはいけない。この「海苔ごはん」は、「普通ご飯」なら150円しかとれないところを、海苔や葉唐昆布をのせて付加価値アップし、「ご飯」としては高額の180円を実現している。この30円の単価アップによって、1日に100食売れば3000円、1ヵ月で9万円も売上げアップするのだ。たかが30円されど30円、ちりも積もれば山となるのだ。

○しっかり秋の主役アピール

◆秋刀魚かば焼弁当(456g/683円)

●柿安ダイニング(東京都中央区銀座4-6-16 三越銀座店内)

サンマのかば焼き、金時、さくらつぼ漬け、オクラとコーンのあえ物、筑前煮、ヒジキ煮、レンコン、春雨サラダ、白飯。

これまでの「サンマのかば焼き」といえば、たれを大量につけ身を小さく切って「あわよくばウナギのかば焼きと間違えて買ってほしい」という下心が見え隠れしている商品が多かった。ところがこの弁当は、たれを薄めにし身を大きく切って「秋の主役はウナギではなくサンマだ」と気後れすることなく自己アピールしている。上にのったシシトウの存在も、本家の「ウナギのかば焼き」がまねしたくなるほど素晴らしい。

○主役引き立てるテクニック

◆栗の炊き込みごはん弁当(376g/714円)

●百々小膳(東京都中央区銀座3-6-1 松屋銀座本店内)

サケの塩焼き、煮物、しば漬け、クリの炊き込みご飯。

映画やTVドラマで主人公の身長が低い場合、脇役は主人公よりさらに身長の低いキャストで固める。いくら胸板が厚くて強そうな主人公でも、周りが大男ばかりではひ弱に見えてしまうからだ。この弁当に入っているサケの塩焼きは、小振りだが分厚く切られて迫力がある。それを強調するために、この弁当は炊き込みご飯のボリュームをわざと抑えているのだ。主役を目立たせるために、ぜひ覚えておきたいテクニックだ。

○紅葉バランを祝日にも応用

◆秋の味覚弁当(338g/398円)

●ジャスコ東雲店(東京都江東区東雲1-9-10)

もち米入り茶飯、マイタケ天ぷら、鶏つくね、トラウトサーモン塩焼き、サツマ芋煮、ヒジキ煮、マイタケ煮、ワサビ菜醤油漬け、ギンナン水煮。

「味覚の秋」「食欲の秋」には、各店が秋の演出に注力する。その半面、秋の演出といえば、紅葉の形をしたバランの飾り付けが代表格。当然、似たような弁当が並ぶ。この弁当にも紅葉バランの装飾が施されているが、ど真ん中にのし袋の〆結びのように配置されているため、縁起が良さそうに見える。この配置ならば、秋が終わってバランが残っても、祝日に使えるので、ぜひ覚えておこう。

(調査執筆・平成17年7月10日~11月1日)

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