エッ!ほんと?即席麺のラーメン店登場 「インスタントラーメンさくら」
「えっ、マジッすか」
何とインスタントラーメンを出して商売が成り立っているラーメン店があるという。ただでさえ世知辛い世の中、それほど安直に商売ができるとは思えないが、早速現場に急行した。場所は西武新宿線・新井薬師駅から100mほどのところ。その名もズバリ「インスタントラーメンさくら」。店内には全国各地のラーメンがずらりと並んでいる。店主の竹中さくらさんに事情を聞いた。
「今年1月までは居酒屋をやっていましたが、必然的に夜が遅くなる生活を考え直し、ラーメン店に改装しました」
しかし、新宿・中野が程近いここは、名にし負うラーメン激戦区。通り一遍の技術では通用しない。そこで、目をつけたのがインスタントラーメン。
この店には、すでに120種のラーメンがラインアップされている。現在の人気アイテムは(1)麺の底力(味噌味)(2)北海道ラーメン・旭川醤油(3)中華三昧(海鮮)(4)キムチラーメンなど。価格は、ナショナルブランドが全国発売している商品は280円、地方限定のラーメンは340円。日清食品の「チキンラーメン」は卵付きで180円だ。レトルトカレーもメニューに加え、現在約20種のオーダーが可能。
インスタントとはいえ、作りに手抜きはない。チャーシューと煮卵は手作り。ホウレンソウとメンマを添える。水も水道水などは使わず、富士山取水のものを使っているという本格派だ。さっそく食べてみたが「これがインスタントか!」というほどの味に仕上がっている。
注文できるラーメンは、すべて袋入り即席麺。関東地方ではなかなか手に入らない限定販売品があるのも、コアなファンにとってはうれしい。
「正直な話、居酒屋をやっていた時よりも売上げは減った。でも、若い人がこんなにいたのかと思うほど新しい客が入るようになった」と話す竹中さんも、うれしそう。今後はオリジナルのラーメンと移動店舗を出したいと語る。
この店が提供するラーメンには、かつて誰もが家庭で経験した母の味がある。インスタント食品に一手間かけたおいしさは、人の心の優しさだと再認識した。
◆「インスタントラーメンさくら」(東京都中野区上高田3‐19‐1、電話03・3386・5201)