フライドチキン、CVSの販売競争過熱 安さと店舗網で裾野拡大
CVSでフライドチキン販売が過熱している。フライドチキンといえばケンタッキーフライドチキン(KFC)の代名詞だが、「フライドチキン市場の50%をCVSが占めるようになった」(ミニストップ)。発売3年目のファミリーマート4月度売上げが前年比33%増と好調、2年目のローソンは前年度の3・5倍の販売数を見込む。10年以上前から販売しているミニストップは、従来品より増量・安価な新商品(6月9日発売)で巻き返しを狙う。CVSの参戦で活気づくフライドチキン市場。KFCは「CVSとは直接競合しないが、まだ掘り起こせる市場だと再認識した」(広報)と、新需要開拓に意欲を燃やす。
CVSチェーンは、カウンターFF強化の一環としてフライドチキン販売に力を入れている。ファミリーマートは04年から販売を開始、05年度は合計6000万本(エリアFC含む)、1店当たり月間約750本の販売を記録した。ローソンは05年秋から売り出した。供給が追いつかず発注制限を設けたが、半期で合計2000万本、1店当たり月間約400本を販売した。
ミニストップは、これらに押される格好で前年比1~2%の微増で推移していた。新商品「骨付きジューシーチキン」は、CVSの中では最も重量のある145g、価格は一番安い125円にした。メーン客層は30代以下の男性。実験販売では10代の購入が多かったという。「フライドチキンの市場はファストフードチェーン50%、CVSチェーン50%。CVS他社のTVCM効果でCVS商品としての認知度が高まった」。CVSのフライドチキン人気の波に乗って売上げ拡大を目指す。
KFCは、国産鶏肉、チルド流通、店内調理にこだわっている。国産鶏肉生産量の約1割をKFCで販売しているという。オリジナルチキンをメーンに、ケイジャンホットチキンなど新タイプを順次投入。4月度の直営既存店売上げは前年比6・9%増と好調だ。対するCVSは、外国産鶏肉、冷凍流通、店内加熱で、KFCの半値近い120~150円価格を実現し裾野を開拓してきた。KFCは、「当社は国内唯一のフライドチキン専門店だが、購入機会のまだ一部にしか応えきれていない」(広報)と、CVSを刺激剤に新たな需要開拓に意欲的だ。
ローソンは、「ケンタッキーに負けない商品」を掛け声に06年度7000万本、ファミリーマートは1億本を視野に拡販する。ミニストップは、前年比120%増の売上げを目指す。市場は、まだまだ過熱しそうだ。