トップシェフの旬菜塾:7月 ナス

2007.07.02 330号 13面

ナス科ナス属。原産地はインド東部。日本には中国経由で7~8世紀ごろ渡来したと考えられている。奈良時代には栽培され、「奈須比」の名で当時の記録に残っている。1833年、二宮尊徳がナスの味で飢饉を予言し的中させた逸話は有名。「ナス紺」と言われる紫色は、アントシアニンの一種ナスニンという色素で抗酸化力が強い。また、毛細血管を強化するビタミンPが豊富。

100g中22kcal(生)

(野菜提供=(株)つま正)

○アクアパッツァ 日高良実オーナーシェフ

◆焼きナスのサラダ

■使用食材(1人前)

ナス(2個)ドライトマトのオイル漬け(小1)EXVオリーブ油(適宜)塩・コショウ(各適宜)A(塩漬けケイパー大1、アンチョビフィレ大1枚、オリーブペースト小1、パセリみじん小1) ■調理方法

(1)ナスを丸ごと焼いて皮をむく。

(2)Aをミキサーにかけ、塩とコショウで味を調え、EXVオリーブ油で濃度を加減しながら溶きのばす。

(3)ドライトマトはみじん切りにする。

(4)(1)に切り離さないように切れ目を入れ、切れ目を広げるように器に盛り、(2)をかけ、(3)を散らす。

■ポイントと応用のヒント

ナスは焼いた直後にビニール袋に入れ、少し蒸らすと皮がむきやすい。

■ナスを生かすポイント

特に南イタリアでは欠かせない食材。ナスは油とマッチするのですが、バランスが大事。焼きナスは、個性を保ちながら程よく油とうまみを吸ってくれます。相性のよいアンチョビ、トマト、オリーブ油と組み合わせて手軽にイタリアン風に。トマトなど他の野菜と煮込むカポナータは作り置きができてお薦め。

○ヒルトン東京ベイ「王朝」宮本莊三料理長

◆ナスの香り揚げ特製ソース

■使用食材(4人前)

ナス(4個)長ネギ(みじん大3)ザーサイ(みじん大1)中国パセリ(みじん大1)ショウガ(みじん小1)A(醤油40ml、黒酢20ml、砂糖10g、酒15ml、ごま油2.5ml)

■調理方法

(1)ナスは縦に半分に切り、皮に細かく切れ目を入れ、一口大に切る。

(2)サラダ油を高温に熱し、(1)を素揚げする。

(3)沸騰させた湯に塩を入れ(600mlに対し塩大1)、揚げたナスをさっと湯通しして油気を取り、クッキングペーパーで水分を取り除き器に盛る。

(4)Aと長ネギ、ザーサイ、中国パセリ、ショウガをまぜ合わせ(3)にまんべんなくかける。 ■ポイントと応用のヒント

(3)の油抜きをすると余分な油が抜け食べやすくなる。たれに漬け込んでも美味。

■ナスを生かすポイント

中国で1000年以上前から栽培されていたといわれるナスは、おなじみの麻婆茄子、揚げ物、炒め煮など調理法もさまざま。特に家庭料理でよく使われていて、新メニューのヒントになります。油を吸いやすいので、揚げ料理の際は、上手に油抜きをして凝縮されたナスの味を楽しんで下さい。

○分とく山 野崎洋光店主

◆ナスのたたき

■使用食材(4人前)

ナス(4個)味つきザーサイ(みじん50g)玉ネギ(みじん1個半)大葉(4枚)塩(大1/2)みょうばん(小1)A(醤油大3、酢大2、オレンジの絞り汁大1、ごま油小1)

■調理方法

(1)ナスは斜めスライスする。

(2)塩とみょうばんを入れた湯に切り口を上にして(1)を並べ、落とし蓋をして2~3分ゆでる。

(3)ゆでたナスを盆ザルの上に並べ、ナスの上にも盆ザルを置き、重しをして水気を切る。

(4)冷めたら皿に並べ、玉ネギ、ザーサイ、大葉を盛り付け、合わせたAを別の器に入れ添える。

■ポイントと応用のヒント

ナスが熱いうちに盆ザルに挟んで水気を切らないと、色よく仕上がらない。玉ネギとザーサイをナスで包むようにして食する。ゆで過ぎ注意。

■ナスを生かすポイント

焼く、揚げる、ゆでるなど、ざまざまな調理ができ、それぞれに別のおいしさを表現できる万能素材のひとつ。うまみだけを強調しようと調味料を多用せず、ほろ苦さを含めたナス本来のおいしさを生かして夏らしいメニューを。

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