アポなし!新業態チェック(14)「モスバーガー銀座カフェ」銀座ナイン店

2007.12.03 336号 4面

ハンバーガー系ファストフードの大手チェーンであるモスフードサービスが、昨年の12月にオープンした「モスバーガー銀座カフェ」は、「ディック・ブルーナモデル」と呼ばれるカフェスタイルの次世代型ファストカジュアル店舗である。

同社では、新しく店舗のテーマカラーを緑色に変えたファストカジュアル業態を「緑モス」と呼び、「赤モス」と呼ぶ従来の店舗から転換する戦略を進めているが、その「緑モス」を象徴するフラッグシップショップという位置付けなのが「ディック・ブルーナモデル店舗」だ。ディック・ブルーナ氏は、オランダの絵本作家兼グラフィックデザイナー。代表作の「ミッフィー」というキャラクターは世界中で愛されており、日本でもよく知られている。「ディック・ブルーナモデル店舗」は、同氏のイラストを看板や内装をはじめ、食器などの小物にも使用したコラボレーションスタイルの店舗だ。

同スタイルの店舗では、1号店の「モスバーガー国立店」、2号店の「モスバーガーオーシャンカフェ江ノ島店」に続く3店舗目が銀座店。2号店から「カフェ」の名を冠しているとおり、メニューはハンバーガー類を絞り込み、丼で提供されるカフェ風の「ご飯類」や食事にもなるサラダの「ごちそうサラダ」といった食事メニューが充実。セットメニューでオフィス街も近い近隣のランチ需要に対応する。またドリンクメニューやスイーツ類も幅広いバリエーションで、従来のファストフード店とは一線を画し人気を呼んでいる。

★けんじの評価

今回、新業態というにはかなり古い、1年近く前に出店した同店を取り上げたのにはわけがある。今夏マクドナルドが「マックカフェ」を復活させ、9月には期間限定ながら築地の本願寺にもカフェがオープンするなど、一時はそろそろブームの終焉かと思われた「カフェ」の人気が、また復活しつつある気配だからだ。同店は、そうした流れの先駆者的存在と言えるかも知れないが、恥ずかしながら、これまで臨店したことがなかった。

正直言うと、「ミッフィーちゃん」で有名なD・ブルーナのイラストをモチーフにした店舗ということで、大人の男は気恥ずかしくて入れないような店なのでは? と、不安を抱きながら銀座へと向かった。だが、その心配は杞憂に終わる。新橋との境目にあたる銀座8丁目は、企業戦士向けのディナー業態系飲食店が軒を連ねる、いわば夜の顔を持ったエリアだ。そうした大人向けのエリアにも違和感なく納まった落ち着いた雰囲気のデザインで、ブルーナ氏のイラストも言われなければ気が付かないほど。

ひと言で言うと、しっかりしたカフェ風メニューが充実した使いやすい店舗。価格も手ごろで、オフィスの近くにあればしばしば利用するかも知れない、と感じさせるほどよくできた店なのだ。多くの女性客が満足げに食事をしているのもうなずける。また、分煙がキッチリしていることも特徴だが、店舗が細長い長方形で、喫煙コーナーがその奥まったところに配置されているため、待ち合わせなどには若干不便かも知れない。

(外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)

●店舗概要

店名=「モスバーガー銀座カフェ」銀座ナイン店/開業=2006年12月13日/所在地=東京都中央区銀座8─7 銀座ナイン2号館1F/席数=67席

◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。

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