食品メーカー開発奮闘記(15)平和食品工業、ユーザーニーズ対応が基本

1993.12.06 41号 23面

昭和43年にキンケイ食品から分離・独立して誕生、その後46年に現社名となったのが平和食品工業㈱。製造品目は、当初はカレーなど香辛料がメーンだったが、現在では和風、醤油、味噌、とんこつ、メンマ、ワカメなどのようにメニューが大きく広がった各種ラーメンスープをはじめ、さまざまな料理のベースとして利用できるがらスープ類・蠣味醤(オイスターソース)、棒々鶏ソースといった中華調味料などへと、大きく広がりをみせている。

一口に中華料理といっても根強い人気のラーメン店から飯店クラスのお店まで、形態・メニューと数も多いが同社の商品開発もまさにこれら外食市場の拡大・変化とともに歩んでいる。末端外食ユーザーでの人手不足、省力化などからカレーなど香辛料においてもフレークから袋もの、レトルトといった容器、形態に移ってきているが、ラーメンスープについても従来は各ラーメン店で独特のスープを作っていたが、昨今は手軽に本物、プロの味が作り出せるなどから各種ラーメンスープを使うのが一般化している。

日本人好みのいりこだしと鶏がらスープをたっぷり使った昔なつかしい支那そばタイプの「和風醤油ラーメンスープ」(三・三㎏缶入り‐約九五食分)、グルメ時代に応え焼き豚煮汁をたっぷり使った「広東(特撰)醤油ラーメンスープ」(三・三㎏缶入り‐約八〇食分)、豚、鶏がらスープ、ごま、食用油、その他の香辛料をバランス良く配合した四川風ラーメンスープ「麻醤麺スープ」(四川風一㎏レトルトタイプ‐約三〇人分)などは、いずれも末端外食ユーザー、得意先との共同開発として誕生したもので、今では他社との“差別化”にもつながるヒット商品ともなっている。

地域はもちろん、ユーザーとのニーズにあわせた対応を進めていくというのが同社の新商品開発の基本的なスタンス。「白湯スープ」「みそ煮うどんスープ」などは地域開発商品の代表的なもの。さらに乾燥カットタイプの「ふえふえわかめ」は簡便性、健康志向、「味付メンマ」(一㎏詰袋入り)は使いやすさなどからも人気の高い商品だ。

また、昨今は不況の長期化から外食市場全体が冷え込みその伸び率が低下している中で惣菜、弁当部門などが注目を集めているだけに今後はこれら“中食市場”さらには外食の中でも各地のリゾート地、スキー場などいわゆるミドルマーケットなどの攻略、これらの分野での商品開発などにも力を入れていく方針。

ところで“バブル崩壊”以後も外食市場、ラーメン店、それにカレーショップなどの客足は全く変わらない。それよりも店舗によってはむしろ売上高は増えているという、いわば不況に強い業種、業態への商品供給をターゲットとしているだけに、今期売上高の目標約三四億円(前期比一〇六%)の達成は堅そう。

《会社メモ 》 ▽平和食品工業㈱

▽本社‐東京都目黒区青葉台四‐四‐五、℡03・3467・0111

▽代表者‐森村憲二

▽主要業務用商品‐即席カレー、純カレーおよび香辛料類、ラーメン、がらスープなどスープ類

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