シリーズ・繁盛店の厨房(32)見積もりの取り方 信頼の1社に絞る

1994.02.21 46号 17面

業者から一口に見積をとるといっても、目的により、およそ二つのケースが考えられる。

その一つは、予算を立てるためであり、もう一つは業者決定が目的である。予算が目的なら少々大まかな数字でもいっこうにかまわないが、もう一方の業者決定が目的の見積の徴収なら、相手が信用と技術に安心できる業者で、安いに越したことはない。

それでは、順序として当初における概算予算決定のための見積のとり方から検討してみよう。

この段階では、店舗の設計はもち論、厨房設計もまだできていないことであるから、後に算出されるであろう実行予算との差異が生じるのは当然であるが、その差異は理想として二〇%以内ぐらいには留めたいものである。もし低過ぎる算定をしたとしたら後々までも禍根を残すであろう。

建築積算でしばしば話題となる、建坪当たり何十万円という見方と同じ方法で、厨房概算見積の目安としては次のようなアンチョコ算定がとられる場合がある。

1客席数×定数

2厨房面積×定数

3厨房機器数×定数

4給食数×定数

5ベッド数×定数

これらにはいずれも算定根拠は乏しく、よくいえば統計値的であり、第六感による経験値による定数である。

元来見積とは、建築施工などで必要とする費用の算出に用いられているほか、物品や、必要とする諸労務費と、それにかかわる運賃その他の諸経費を、事前に見込んだ総費用をつかむためであるのはよく知られている。

正確には設計図を中心とした算定資料を整え、数社を招集、同時説明により期日を限って見積の提出を依頼するのが建前である。

実務としては、このように同一資料によって施工見積を求める場合と、各社独自の厨房設計を作成してその費用を提出する場合がある。

さて、建前通りに数社を同時に招集して見積をとるのも公明でよいかも知れないが、一方、競争各社の横の連絡を助けることにもなる。特に施工金額決定の見積が目的の場合は、避けたいところである。

もう一つの方法としては、信頼のおける一社にしぼって設計と見積を依頼して互いに相談づくで進行させるのも良く、小規模店のケースではむしろこの手法をすすめたい。その理由は、先に業者の選び方のとき詳細に述べたところでもある。

さて、見積の徴収でもう一つ忘れてならないのは、グレードである。グレードには高級品、中級品、普及品とあり、高級品にはステンレスも厚手で角Rでホテルタイプと称し、二〇年も耐用する。一方普及品も中級品も見分けはつかない。信頼できる会社の取扱いなら中級品とみて差しつかえない。

また、価格決定のポイントは、一番低い業者は見送り、次点の業者を選び相談づくで最終決定するのが賢明である。

厨房コンサルタント

島田 稔

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら