施設内飲食店舗シリーズ 田町センタービル(東京・港) 駅からビルへ歩行専用路

1994.03.21 48号 4面

JR田町駅前西口地区の再開発事業として建設を進めていた「田町センタービル」が、この2月26日グランドオープンした。

このビルは地域の地権者で構成する「田町駅前西口地区市街地再開発組合」(理事長川崎寛正氏)が、事業主体となって建設してきたもので、昭和61年8月、都の市街地再開発促進区域の指定を受け、平成4年3月から工事を進めてきていた。敷地面積約一〇〇〇坪、建築面積七〇〇坪、地上一五階、塔屋二階、地下三階、延床面積約一万坪の都市ビルで、地下二階には自走式、機械式を合わせ計一七三台の駐車場を備えている。

フロア構成は地下一階から地上三階までが店舗、四階から最上階の一五階までがオフィスで、オフィス部分はまだ四、五割程度の入居だが、商業ゾーンは「食・飲・遊・ショッピング」をコンセプトにして“バラエティープロムナード”「Piata」(ピアタ)を展開しており、飲食、物販、サービスなど計二八店舗が出店している。

これらフロア構成は次のとおり。

◇地下一階(飲食九店)

ふるさと三昧「藩」(居酒屋)、かっぽう「横かわ」(日本料理)、天ぷら「つな八」(和食)、「若寿司」、「札幌本舗」(ラーメン)、ハンバーガー「森永ラブ」(ファストフード)、パスタ・小皿料理「東花房」、とんかつ「三福」(和風れすとらん)、広東小菜「ワンチャイ」(中国料理)

◇一階(同五店)

カレーショップ「伊豆美」、コーヒー・サンドイッチ「プチール」(喫茶・スナック)、串焼「わへい」(居酒屋)、スタンドコーヒー「ドトールコーヒーショップ」(喫茶)、甘味・麺「やまと」(和風らーめんと甘味)、他にJR東日本田町駅「びゅうプラザ」、理容「タムラ」、ギフト・ファッション雑貨「BAY HOMES」、第一勧業銀行などが出店。

◇二階「同一店」

そば処「謙徳」(そば・居酒屋)、他にカステラの「文明堂」、ディスカウントショップ「キムラヤ」、化粧品・アクセサリー「PAROS」、メガネ・コンタクト「ヒラタ」、薬・化粧品・DPE「慶愛堂」など。

◇三階(同三店)

スパゲティ・ドリア「イルプリモ」(イタリア料理)、海鮮料理「三田海鮮問屋」(居酒屋)、ビアーレストラン「ニュートーキョー」

飲食店舗はトータルで一八店を展開しているわけだが、地元地権者のテナント出店に加えては、大手外食チェーンが入居しており、同ビルにおける飲食ゾーンのプレステージを高めている。

「やはり、無名の店より大手外食チェーンの方がテナント出店も手慣れていますし、消費者へのアピール度も大きいですから、施設への集客力を高めるためにも、知名度のある店に出店していただいた方がベストであるわけです。おかげさまで私どもはニュートーキョーさんをはじめ西洋フード、ジロー、森永ラブ、ドトールコーヒーさんなど大手チェーン出店に成功しておりまして、関係者の方々にも施設の価値が上がったとおほめの言葉をちょうだいしている次第です」(田町センタービル管理(株)業務部久保田政人部長)。

田町センタービルは国道一五号線に面して建っているが、田町駅からは〇分の位置にある。駅の改札口とは二階部分のペディストリアンデッキで結ばれており、改札口から即店舗フロアにアクセスすることができる。

このペディストリアンデッキは、港区が設置した公共施設で、「歩行者専用道一号線」と称しており、隣接の森永本社ビルにもリンクしている。

幅員四~一六m、延長約一二〇m、ゆったりとした広さで、改札口前の広場(人工地盤)としての機能を備え、街中のコミュニティー空間を呈している。

センタービルへはもちろん地上からもアプローチできるが、地下一階フロアへは隣接地の都営三田線および浅草線からもアクセスすることができる。

交通の利便性に恵まれた都市ビルということだが、四階から一五階までのオフィスゾーンへの入居率はまだ四、五割という程度で、現在関係企業への入居を呼びかけているところだ。

現在入居中の大手事業所は三菱自動車工業、三菱オートクレジット、第一勧業銀行などだが、バブル経済がはじけて企業のリストラが基調という状況においては、新たなオフィスの開設は難しいところだ。

しかし、同ビルの販売会社(株)田町ビルでは、施設の立地条件にすぐれていること、入居条件もバブル時代に比べ二分の一程度に引き下げられているので、独自のセールス活動によって、今夏までには入居率一〇割の目標を達成できるものと期待している(営業部営業一課森博樹課長)。

全フロアにオフィスが入居するとビルの就業人口は一〇〇〇人前後になる見通しだが、JR田町駅の一日当たりの乗降者数が約三〇万人であるので、この五%の人が同センタービルの商業ゾーンに流れてくるとすると、一日平均一万五〇〇〇‐一万六〇〇〇人の客数が来街することになり、店舗利用の機会は大きく高まることになる。

しかし、ピアタのターゲットは基本的には周辺のサラリーマンであり、若いOLたちだ。このため、オフィスが休みになる日・祭日は店を休業するというケースが大半で、平日で稼ぎ取るという運営形態にある。

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