地域ルポ 豊洲、センタービルで活性化、チェーン店進出相次ぐ

1994.05.23 52号 8面

江東区豊州は一丁目から六丁目まであって、住居、近隣商業、準工業および工業地域の用途利用にあり、将来的には再開発の可能性を大きく残している地域だ。

事実、晴海通りと三ツ目通りがクロスする豊州交差点の南側は豊州五丁目になるが、大規模な再開発計画が考えられていた地域で、現在はバブル経済がハジケたせいで、構想が頓挫した形になっている。

「基本的には住居、業務、商業、文化施設を組み込んだ複合都市ビル建設になると思うのですが、現在はこういった厳しい不況下にあることでもありますし、また、地元の方々の考えもまだハッキリと固まっていませんので、具体的に話が進むのは二、三年先になるのではと思います」(江東区役所・都市計画課まちづくり推進室)。

豊州は各種展示やイベントがおこなわれる晴海や有明コロシアムが近隣地にあるのだが、六年前に営団地下鉄有楽町線が開通し豊州駅ができるまでは“陸の孤島”といわれ、交通の便には恵まれなかった地域だ。

それが豊州駅の開業が地域を大きく活性化し、オフィスビルや商業施設などの集積を促進することになった。九二年11月に完成した地上三六階、地下一階建ての豊州センタービルはその象徴的なもので、地域のランドマークともなっている。

豊州駅の地下ホームから地上に出ると、そこは晴海通りと三ツ目通りがクロスする豊州駅前交差点だ。駅の表示にしたがって豊州四丁目方向の出口に上がると、三ツ目通りに沿って商店が建ち並んでいる。

交差点の角に八階建てのビルが立っており、一階にラーメン「花の華」、牛丼チェーンの「吉野家」が目に入る。

狭い歩道を前進すると、持ち帰りの「茶月」ほか、小さな居酒屋、江戸前ずし、パチンコ、薬局、カラオケスタジオ、さらにはコンビニエンスストアの「ファミリーマート」などの出店が目につく。

カラオケスタジオは高輪の東京ホテルが「レザー10」の店名で多店化を進めているもので、この店は九二年11月にオープン。地域のサラリーマンや住民の利用を見込んでの出店だ。

さらに進むとテークアウトすしショップの「ちよだ鮨」が出店しており、昼どきや夕方の買物時にはOLや主婦などの持ち帰りで賑わいをみせる。この店も今年に入ってのオープンだ。

この店から一二~一三mも歩けば、商店は途切れるが、三ツ目通りと直角に接する生活道路の角地に、五階建てビルの一階にセブンイレブンが出店しているのが目に入る。

この店は七四年5月にオープンしたセブンイレブンのFC第一号店で、いわばセブンイレブンのメモリアルストアという存在だ。

店の二階にはビアレストランの「キリンシティ」が出店しており、夜は若いサラリーマンやOLなどで連日の賑わいをみせている。

豊州駅前交差点の三丁目方向出口の角地に、地下改札口と連動する形で、前記の豊州センタービルが建っている。

このビルにはNTTデータ通信をはじめ、川崎製鉄、川鉄システム開発、住友ゴム工業、日本ダンロップなど大手企業九社が入居しているほか、商業店舗としてステーキハウス「フォルクス」、和風茶屋「逢」、中華レストラン「くぼじや」、信州そば処「そじ坊」、しゃぶしゃぶ「とんぼーい」、ハンバーガー&ピザ「ファーストキッチン」、コーヒー&ダイニングバー「プロント」など飲食店舗が七店、入居している。

これら商業施設は基本的には「オフィスサポート」としての出店であるわけだが、もちろん地域住民や来街者の利用も多く、一つの商店街としての機能を発揮している。

このビルのオフィス入口は一万五〇〇〇人ほどで、このほか来館者が一日平均で約二万三〇〇〇人、トータルで四万人に迫る数になり、地方の小都市並みの人口ボリュームだ。

交差点の南側が豊州五丁目で、交差点の角から晴海通りに沿って商店が十数店軒を連ねている。実はこの一帯が再開発計画の対象となっている地域で、計画予定地の一角には「豊州駅前地区市街地再開発準備組合」や「豊州五丁目地区再開発協議会」などの事務所が開設されている。

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