居酒屋業界、活路はアルコール以外、業種を超えてアフター5は競合激化
折りからの景気低迷で、外食産業には暗い影が落ちているが、なかでも居酒屋業態は最近、事態を深刻に受け止め、打開策に躍起となっている。
大衆的な業態なため、これまで景気の波に左右されにくいとされてきたが、宴会需要の低下、ビールの増税、酒類ディスカウント販売のあおりで売上げは頭打ち。「自宅で飲む人が多くなった」との声が多く、アルコール以外の魅力でも集客できる展開策が急務とされている。
一方、飲食トレンドが値下げ傾向なことに起因して、食事主体のカジュアルレストランでも単価引き下げが相次いでいる。そのため居酒屋業態の価格帯では競合が激化。アフター5の飲食店では、業種の枠を越えた集客合戦が繰り広げられている。
大手チェーンにおいては、大衆割烹の「庄やチェーン」に見るカラオケボックスとの複合店化や、「天狗チェーン」が展開を始めたランチメニューへの取り組みなど、既存の店舗運営に新事業をオンして売上げ増加、集客アップを図る動きが目立つ。確立したマニュアル化など既存の戦力を新事業に結びつけ、さらなるステップアップを目指している。
こうした打開策を模索する厳しい状況のなかでも順調に出店を進める業態がある。アットホームな居酒屋、従来のサービスを重視した「人情屋台」がそれだ。現在六五店舗を擁するが、失敗例はいまだになく、今年中に一〇〇店舗、三年後には三〇〇店舗を設ける大掛かりな計画だ。
同一視されがちな屋台村とは完全に一線を画し、その展開方式は居酒屋業態の新種として確立されるものと見られている。
この成功例を追って、今後の居酒屋業態に参考となるべき点を探ってみた。