飲食トレンド:カジュアルレストラン、外食産業のニューウェーブ軌道に
「カジュアルレストラン」という定義はあいまいだが、その発祥地アメリカではいま、FFとカジュアルレストランの二極化の傾向を強めており、その中間にあるFRが衰退している。日本でもその流れが起きるかどうか注目されるところだが、土井研究所の土井利雄社長は「これから伸びる外食店はカジュアルレストランだ」といい切る。
「いま、FRはディスカウントしたり、サービスを落としてメニュー単価を引き下げ集客に力を入れているが、いずれ壁にあたるだろう。外食店がサービスの質を落としたら存在の価値がない」というわけだ。
「サービスの質を上げてカジュアル化した店が繁盛する」というのが土井氏の論理だが、それを証明する外食店はたしかにある。銀座ろくさん亭の主人、道場六三郎氏が赤坂にオープンした「ブラッセリー六三郎」だ。同店のメニューはディナーのコースが八〇〇〇円。銀座ろくさん亭の一万五〇〇〇円に比べ値頃感を出している。しかし、料理の質は落としていない。
「若いお客さんをターゲットにして、カジュアルな雰囲気を出した」と説明する。店のコンセプトが的を射て連日盛況をきわめており、ディナータイムは予約しないと席をとれない状況。また、「料理人はギャルソンでもある」という道場さんの主張が店作りに十分発揮されており、オープンキッチンを採用している。
二年前にカジュアル化を先取りしてキリンとロイヤルが合弁で出店した「ランチャン バー&グリル」はアットホームなサービスをコンセプトに、常連客作りに成功している。外人客が多いことからホールの従業員対象に英会話の勉強会を開くほど、接客サービスに力を入れている。
メニューに工夫を凝らしながら、たくみにサービスの差別化を図っているのが「ニユートーキヨー」だ。店長と料理長に裁量権を与え、各店ごとに独自のメニューを開発させ、ユニークなメニュー表現をとらせて客とのコミュニケーションをうまく図っている。カジュアル化したビアレストランの“元祖”ともいえる。
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