絶対失敗しないための立地戦略(52)簡単な意識調査の実施を

1995.02.06 69号 10面

素人でも可能

“無競争(業種・業態)の競合(飲食店)立地”を探すための手っ取り早い方法の一つとして、エリア内の意識調査を実施してみるのも良い手段・手法の一つである。

この意識調査を実施することにより、そのエリアの地区人口(昼・夜間人口)が、どんな店舗、どのような業種・業態の店を望んでいるのか、どんな店の不足に悩んでいるのか‐‐といったことが、極めて明快に垣間見ることができる。

意識調査など難しくて素人にできるものではない‐‐、調査会社に依頼したらとんでもない費用を請求されてしまう‐‐といった声をよく耳にするが、簡単な基本事項さえ心得ておけば費用もたいしたことなく、それほど労せずしてできるものであることを覚えておきたいもの。

まず、出店予定地または出店地のエリア、商圏(通常の場合、ウォークイン=徒歩圏=タイプで半径六〇〇~八〇〇m、郊外の車相手のサバーバンタイプで半径三~四キロメートル)内の知り合いを、どんなツテでも良いからまず探し出し(数の多いほどよい)、そのツテの輪をさらに拡大して、最低一〇〇人程度の回答者を確保する。もちろん誰でもよいというわけではなく、出店する店舗の業態・業種に合わせて、男女別、年齢別などの色分けは必要となる。

イタリアンレストランなら若い女性が中心調査対象となるし、ラーメン屋であれば老若男女を問わず‐‐といった具合だが、店舗のクオリティーにより、収入ランクにも多少気をつかう必要もでてくる。

したがって、ある程度の精密さをともなった意識調査を行うとなると、やはりそれなりの専門知識と基礎データが必要となり、素人にはやはり無理な面がでてくるのは否めない。しかし、それは本稿の意図ではないし、そこまで無理におすすめしない(もちろん、資金とヒマのある人は別だが)。

ここでおすすめするのは、素人でも比較的簡単に実施でき、しかも、それにより、かなり的確な情報を入手できる意識調査の手法である。

ただ、どうせ実施するならば、正確な基礎バックデータがあった方がよりベターであるので、できれば、これまで数十回にわたって述べてきた、出店のためのマーケティング調査データの基本データとして持った上での実施をおすすめしたいもの。

バランス良く

しかし、この基本データがなくとも、簡単なバックデータのみを頭の中にインプットした上での、簡単な意識調査もぜひ行ってみたい。かなりの貴重なデータが入手できることを請け合いたい。

調査人員に関しても、前述の一〇〇人とまではいかずとも三〇~五〇人でもそれなりのデータは収集可能である。ただ絶対忘れてならないのは、常日ごろ、調査エリアと密着している人達があくまでも調査対象ということである。具体的にはそのエリアに居住している人、また昼間、会社、工場、商店などに勤務している人達である。つまり、昼夜間人口が対象となる。

この場合、会社勤めなどの昼間人口だけに片寄ってもいけないし、居住している夜間人口に片寄ってもよくない。バランスが必要となる(こうしたバランスを見極めるためにも、物件周辺の通行量調査は必要といえる)。

飲食店の営業は、平日だけでなく、休日の営業も行うので、一年中の営業であることを忘れてはならない。(次号に続く)

マーケティング

コンサルタント 戸田光雄

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