施設内飲食店舗シリーズ 「ナムコ・ワンダーエッグ/たまご帝国」

1995.02.06 69号 22面

東急・二子玉川園駅から二、三分。(株)東急レクリエーション(本社=東京)が事業主体の「二子玉川タイムスパーク」内。平成4年2月、「ワンダーイマジネーション」を基本テーマに、二〇代の若い女性客をメーンターゲットにオープン。

大手ゲームメーカーの(株)ナムコ(本社=東京)が経営するオリジナルの都市型テーマパーク。

敷地面積約二七〇〇坪。テーマパークとしては小型だが、「エルズ広場」「ラベロの市場」「時の工場」「竜の城」の五つのゾーンの中に一四棟のアトラクション(ゲーム)施設を展開する。

年間集客数九〇万人前後、売上げ二六億円(昨年実績)。物販店四店舗に加えて、ファストフード機能の飲食店舗五店も出店しており、来館者の飲食ニーズに対応している。

施設の集客については、都市型のテーマパークというだけに順調に推移しているが、既存施設に加えて昨年7月、隣接地に新たに体験型のテーマパーク「たまご帝国」をオープン、これによってさらに集客力が高まっているほか、飲食ニーズも強まっている。

東急・二子玉川は玉川高島屋や東急ハンズなどの大型商業施設があるほか、多摩川の自然が展開しており、ショッピングゾーンに加えレジャー空間としての立地特性を訴求している。

このため、若い女性層をはじめヤング、ヤングミセスなどの来街が多く、東京の郊外にあって独自の賑わいをみせている。

ナムコ・ワンダーエッグはこういった立地特性を背景に開業したものだが、屋内施設を中心として全天候性の施設であるほか、手軽な利用料金、夜間営業の導入ということもあって、集客は好調に推移している。

昨年度の実績で年間集客数八五万人、売上げは年間二六億円。

今年平成7年度は集客数九五万人、売上げ三〇億円と、集客数で一二%、売上げで一五%増を見込んでいるが、これは新たに「たまご帝国」が加わったことで十分にクリアできる数字だ。

「冬場はシーズンオフで、客の入りは夏場に比べて低調になりますが、春から秋にかけましては観光バスでの団体客や修学旅行の学生、それから地方からのお客様もこられますし、また昨年7月には新たにエキサイティングな体験型のテーマパーク『たまご帝国』がオープンしましたので、来場者は好調に推移しております」(ナムコ・コーポレート・コミュニケーション室広報課丸子真史氏)

たまご帝国はワンダーエッグとセットとなる「ツインパーク」の運営形態を採っているが、施設構成には米国マジックエッジ社と共同開発した世界初登場の本格的フライトシミュレーションをはじめ、日本初デビューの米国ショースキャン社製の油圧駆動六軸モーションシステムとフルCGオリジナル映像のムービーライド、レーザー銃とベスト着用の未来型シューティングスポーツ「キューザーアリーナー」など六施設から成っている。

ナムコ直営店で“イタトマ”タイプの店だ。昨年7月にオープンした「たまご帝国」唯一の飲食店で、この店の出店によって、ナムコはケーキハウス「スイーツ・スイーティ」、デザートハウス「イタリアントマト」と合わせて三店舗を展開することになる。

店は二〇坪ほどのコンパクトさで、客席はないがテーブルがあるので、立食スタイルでイートインもできる。店の外に四〇~五〇席のテーブルを設けてあるので、夏場は外が気分のいい客席になる。

メニューはビーフストロガノフ、カニピラフ各七〇〇円、和風、中華ヌードル六〇〇円、スパゲティ七〇〇円。

ドリンクやデザート類が二〇〇~四〇〇円。客単価五〇〇~六〇〇円。売上げは三店舗合わせて年間一億円以上。

福島県相馬市の和菓子および食材卸の老舗「船橋屋」が経営する店で、姉妹店が千葉、海浜幕張(プレナ幕張)に出店している。

博覧会やイベント会場での出店ノウハウを有しており、古くは大阪万博、つくば博、大阪花博などでの出店実績がある。

二子玉川ではワンダーエッグの開設と同時にオープン。テークアウト主体の店舗で、メニューはオリジナルのチーズフォンデュー、サイコロステーキ八〇〇円、同ソーセージ六〇〇円、フライドヌードル四五〇円、ナゲット(チキン・チーズ)三五〇円、チーズドッグ三〇〇円、フランクフルト、アメリカンドッグ各二〇〇円など。

客単価四〇〇~五〇〇円で、土・日には客数が二〇〇〇人を超えるときもある。

施設内の飲食店舗は、ワンダーエッグにファストフードショップ「ハッチ・ポッチ・ポット」、明治サンテオレ直営のハンバーガーショップ「グリーディムーン」、デザートハウス「イタリアントマト」、ケーキショップ「スイーツ・スイーティ」の四店、たまご帝国にカフェテリア「エムパイヤーキッチン」の一店と計五店が出店しており、来場者の飲食ニーズに対応している。

これら飲食店舗はすべてファストフード機能の店で、ハンバーガーやホットドッグ、クレープ、スパゲティなどのフードメニューで、中心価格が三〇〇~四〇〇円。

ドリンク類はコーヒー、紅茶、ジュース、コーラ、ソーダ水など単価二〇〇~二五〇円。

店舗あたりの客単価は平均して五〇〇~六〇〇円の範囲。テーマパーク内での出店であるので、“マスセールス”の対応で、ロープライスでの営業形態ということになるのだが、メニュー構成が店舗間で競合している場合が多いので、トータルでの出店政策が十分に考えられていないという印象を強くする。

とくに、ケーキショップの「スイーツ・スイーティ」、デザートハウス「イタリアントマト」、カフェテリア「エムパイヤーキッチン」は、六年前にナムコが吸収したイタリアントマト系の店舗で、三店ともにナムコの直営出店になるが、ストアー名は変わっていても、メニュー構成の面では共通する部分が多く、たがいにバッティングし合っているという印象を受ける。

また、とくにこの面ではテナントのハッチ・ポッチ・ポットとも競合している部分が多く、利用者にとっては特定のメニューを除けば、店構えにおいても差別化が感じられないという印象だ。

もっとも、営業成果の面で目標をクリアできていけば問題はないわけで、すべては実績本位ということだ。

「シーズンや曜日でのギャップはありますが、各店舗とも年間を通してみれば、客数は十分に確保していますから、営業面ではプラスで実績がアンダーという店はありません」(ナムコ・テーマパーク事業部藤谷喜哉係長)

ナムコ直営の三店舗が合わせて年間売上げ一億円以上の実績。テナント出店のグリーディムーン、ハッチ・ポッチ・ポットも、具体的な数字は明らかでないが、年間一億円前後はキープしているとみられる。

■施設データ■

・名称/都市型テーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ/たまご帝国」

・場所/東京都世田谷区玉川一‐一一五、二子玉川タイムスパーク内

・事業主体/株式会社ナムコ

・オープン/平成4年2月

・施設面積/二六三八坪

・延床面積/一四〇〇坪

・建物構造/鉄骨造一部木造二階建

〈飲食施設〉

・ファストフード「ハッチ・ポッチ・ポット」

・ハンバーガーショップ「グリーディムーン」

・デザートハウス「イタリアントマト」

・カフェテリア「エムパイヤーキッチン」

・ケーキショップ「スイーツ・スイーティ」

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら