飲食トレンド ラーメン最前線を行く いま新興チェーンが面白い
戦後の大衆食の代名詞であるラーメンは、その市場を一途に拡大してきた。日本人が麺好きであることや値頃感が人気の原動力であるのはいうまでもない。また供給側(店)にも低投資で高収益を見込めるなどのメリットがあり出店数も著しく増加。双方がうまくかみ合い市場の拡大を加速させたといえる。だが最近はその傾向にも歯止めがかかり、業界は再編成の時期を迎えようとしている。
調理技術の未熟な脱サラ店舗がほとんどであったり、製麺業から発足して食材供給一辺倒のチェーン本部が多いためか、メニューやオペレーションについての意識改革が遅れている。なにより出店すれば誰でもある程度売れて利益が出てしまうラーメン特有の利点がかえって業態向上の足かせになっているといえるだろう。
「ラーメン業態は大衆の支持と高荒利の強みに甘んじてさまざまな面で他の業態に遅れ過ぎている」(ラーメン食材卸)のコメントがすべてを象徴している。
それでも通用すればよいのだが、ここ数年の景気低迷から各飲食店でディスカウント、バリュー戦略が活発化しており、かつて売り物であったラーメンの値頃感も色あせ始めている。CVS(コンビニエンスストア)の急激な市場拡大、弁当などの品質良化にともない中食との競合も強いられている。残業カットの世相に見る夜食減も重くのしかかる。ラーメン業態を取り巻く環境は厳しくなる一方なのだ。
最近の業態の二極分化は、かねて指摘された“おごり”への取り組みの差が景気低迷を契機に明確化したものといえよう。
淘汰の時期に突入したラーメン業態。新時代に活躍しそうなラーメン店を特集した。
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