地域ルポ 水道橋(東京・千代田区)東口にファストフード系が集中

1995.05.01 75号 8面

JR水道橋駅は隣接のお茶の水、飯田橋と並んで大学や高等学校、専門学校、進学塾などが林立する文教街、若者の街でもある。また、一方においては日本有数のレジャーランドである「後楽園ゆうえんち」および「東京ドーム」(ビッグエッグ)が展開するので、地域への来街動機を大きく喚起、一大アミューズメントゾーンとしての地域特性を発揮している。

水道橋の街並み(商店街)は、お茶の水側の東口と飯田橋側西口ゾーンの二つのエリアに分かれる。

東口は白山通りで東京歯科大病院や日本大学があり、南に八〇〇mほど進めば古本屋街の神保町に行き着く。西口は専修大通り(通称)で、北側外堀通りには東京ドームや遊園地にアプローチする正面ゲートになっている。このため、野球シーズンやドームでのイベント時には、来場者のほとんどが西口の改札口を利用する。

東西合わせて一日の乗降者数は平均二〇万三〇〇〇人だが、ジャイアンツ戦など人気カードの公式試合には一日当たり五万六〇〇〇人のファンが、また、ドームの隣接地に場外馬券売場があるので、競馬開催時には一〇万人前後の来場者があり、西口界隈は異常なほどの混雑ぶりをみせる。

年間三〇〇〇万人以上(東京ドーム広報部)。これは後楽園の全施設に来場するレジャー客だが、東京ディズニーランド一六〇〇万人、ハウステンボス四〇〇万人の年間来場数と比べてもケタ違いの集客力だ。

水道橋地域への客の流れはこの面からのウエートが大きく、これら客層および地域の学生(ヤング)層に対応して、ファストフード(FF)や居酒屋チェーンを主体に、多くの飲食店舗が存在する。

東口の改札口。高架(ガード)下を右に行くと、一四階建ての東京歯科大学病院に直面する。

外壁がグレーの地味なビルで、いかにも大学関係の施設という趣だ。

そこを二〇mほど前進すると右手ビルの一階にヒグチ薬局、二、三階にマクドナルドが出店する。九一年12月オープン。一階六〇席、二階一〇〇席の中型店舗で、ヤング層を主体に一日一〇〇〇人以上の客数がある。

ここを二〇~三〇mほど神保町方向に歩く。三階建てビルの一、二階に森永ラブが出店。ハンバーガーショップとしてはすでに古株で、一一年前のオープン。一階一五席、二階三五席のコンパクトな店で、午前中は若いサラリーマンやOL、日中は大学生や中高生で賑わうが、マックに比べて客数は少ないという印象だ。客単価は四〇〇~五〇〇円前後。

現在、春の新メニューアスパラピザセット五〇〇円、アスパラグラタンセット五〇〇円、ベーコンオムレツ五九〇円、シャウエッセンチリバーガーセット五六〇円など四種をキャンペーンセール中。2月21日から4月中旬まで。

森永ラブからさらに先に進むと立食いそばの富士そば、喫茶ドトールコーヒー、万世ラーメン、牛丼チェーンの吉野家、松屋、居酒屋チェーンの庄やなどの外食チェーンが軒を連ねる。

これら飲食店舗は白山通りを神保町方向にみて、西側の三崎町二丁目、西神田二丁目エリアに展開するわけだが、通りの東側(三崎町一丁目、西神田一丁目)は日大ほか、大原簿記学校の校舎が点在するので、目につく飲食店舗といえば、居酒屋の天狗、そばチェーンの満留賀くらいのものだ。

つまり、通りの西側に比べ商店を集積しにくい立地環境にあるということだ。

水道橋駅西口は北側の外堀通りに面して、東京ドームおよび後楽園ゆうえんちの正面ゲートに位置しているので、野球シーズンや休日、イベント開催時には人の往来が激しく水道橋界隈では最も賑わうところだ。

このため、駅に近接して多様な飲食施設が展開する。まず、改札口を右に出れば、七階建てのビル(西山興業新水道橋ビル)が目に入る。

地下一階、地上二階がパチンコホール、三階屋台村、四階焼肉大門、五、六階カラオケスタジオ、七階おやまの大将といったフロア構成。

このビルの一棟置いて右隣も七階建てビル(TKビル一号館)で、地下一階にジロー「ビアマーケット」、地上一階カフェ、同二階パスタハウス「ミラネーゼ」とジローの直営店が三店舗展開する。

ビアマーケットは一二〇席の中型店だが、メニュー構成はつまみ類(四〇〇~一〇〇〇円前後)からイタリア料理の大皿料理(一五八〇円、一六八〇円)までバラエティに富んでおり、夜は連日の大入りといった状況にある。

このビルは左右対称の形になっており、正面ビル右側はTKビル二号館になっている。ここにも飲食店舗が出店している。

地下一階に和・洋・中を採り入れた食べ処、飲み処の「にほんばし亭」(味工房)、地上一階が喫茶「ルノアール」というフロア構成で、前記の飲食施設と合わせて、この一角は日中でも独自の賑わいをみせている。

駅改札口を左側に出れば、即マクドナルドの店舗前(水道橋店)の歩道空間だ。オープンして一五年、水道橋最初の店で、七階建て飲食ビルの地下一階、地上一階での出店だ。

一階はテークアウトオンリーのカウンタースペースで、最高の立地であることから人が途切れる間がない。地下は一五〇席のフロア空間だが、昼ごろから夕方にかけて常に満席といった状況だ。

とくに後楽園で野球や競馬(場外馬券)があるときは大入りが続く。一日当たりの来客数一五〇〇人前後、日商八〇~一〇〇万円は軽くクリアしている。

このビルにはマクドナルドのほかに、一階に大衆割烹「かわ田」、二、三階ニユー・トーキヨー「ウエル」、五階にすし「かわ田」の三店が出店している。

マクドナルド一階は角地になっており、この左手は表通り(専修大通り)から水道橋東口方面へ抜ける長さ一〇〇mほどの商店(飲食)街になっている。

目につく飲食店舗では庄や、やるき茶屋、串焼949などがあり、チェーン、個店合わせて居酒屋が多く点在する。

表の通り沿いにもビルインでの飲食店舗が軒を連ねる。大手外食チェーンでは、まず駅から専修大方向の左側の路面に喫茶「ドトールコーヒー」、餃子の王将チェーン、右側の路面には回転すし・神田川寿司、居酒屋チェーン・養老乃瀧、藩など。

西口は東口の“学生街”に対し、ニチレイや鉄建建設といった大手企業が存在するので、サラリーマン対象の飲食施設が多いわけだが、チェーン企業の場合はマクドナルド、ドトールコーヒー、庄や、養老乃瀧といったように複数店舗を展開するケースが目立ち、東西二地域の飲食ニーズに対応する出店戦略にある。

しかし、結論的にいえば、東口エリアファストフード系、西口は居酒屋系の店が多く存在するという印象だ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら