活性化するカレー専門チェーン POT&POT(吉野家)
味は中辛の1種類
(株)吉野家ディー・アンド・シー(東京都新宿区、03・5269・5001)は、牛どんと同じ“コメ”“肉”“玉ネギ”を主力食材として、トッピングでバリエーションをつける「カレー」に注目し、「カレー亭」として七~八年にわたりテスト展開してきた。これを基に昨年5月と6月に「三三〇円でボリュームたっぷり、おいしいカレーが食べられる新業態」としてカレーショップ「POT&POT」を四店出店した。まだ実験店としての位置づけだが、将来的には三桁の出店を狙っている。
味は中辛一種類。スタンダードなカレー(三三〇円)にバリエーションをつけてビーフカレー、フライドチキンカレー(各四八〇円)、ハンバーグカレー、クリームコロッケカレー、野菜カレー(各五三〇円)、ヒレカツカレー、ビーフカツカレー(各五八〇円)の七種を揃えている。全品大盛は一〇〇円増しで、トッピングの追加も可能。サイドメニューにはコールスローサラダ、ワカメサラダ(各一〇〇円)がある。
味は二〇種類以上のスパイスとココナツミルクを配合、水を一適も使用していないため、まろやかなうま味とコクが自慢。店舗でカレーにうま味を加えて煮込んで味を仕上げる。トッピングの煮込みやフライも店舗で行い、特にフライは揚げたてを使用。最終的な調理を店舗で行うことにより手づくり感を高めている。
ボリューム的には普通盛でご飯が二五〇gあり、牛どんの並(二六〇g)とほぼ同じで満足感がある。提供時間は一分のクイックサービス。“うまい、早い、安い”を目指している。
店舗はパステルグリーンとホワイトが基調。客席はカウンター形式。従業員は通常二人だが、ランチタイムなど忙しい時には増員して二四時間営業をしている。
初期投資額は低い
今期の出店は都心部に三店で、当面は首都圏で実験を重ねマーケティングとオペレーションを確立する。中・長期計画はこれから。一人一時間当たりの人時客数は吉野家の一四~一五人に比べると一〇人と低いが、厨房スペースが少なくてすむなど初期投資が低いことが特徴。
同社ではカレー亭の実験から、カレーは日常性が高く外食としての需要が家庭に近づけば近づくほど利用は希薄になるが、ランチマーケットとしては高い支持があると分析している。ランチでも吉野家の牛どんに似た利便性は、時代背景からして今後広がり、スナック的な使われ方も見込まれる。