特集・デリバリーピザ 個性派店の戦略 函館「テン・フォー」
“和風ピザ”が北海道を席巻している。ブームの火付け役は函館に拠点を構える「テン・フォー」(詳細15面)だ。ローカルマーケットの特性を的確につかみ、チェーン発足わずか六年で道内に七〇店舗を出店。和風がテーマのピザ旋風は、いよいよ本土にも上陸しそうな勢いだ。
人気メニューのトッピングをみると、「ビーンズファームピザ」(12面参照)は長芋、モヤシ、インゲンなど、「ゴールド・ラッシュピザ」はキンピラゴボウ、牛ソボロなどユニークなものばかり。ほかにもタケノコ、ショウガ、福神漬、豚角煮など他には類のないトッピングが豊富だ。ソースは味噌ソース、醤油ソースなど四種類。組み合わせ自在で多様なニーズに対応している。
「ローカルマーケットは人口が少ないうえに若年層も少ない。したがってユーザーを絞ったファッション的なメニュー展開は通用しない。老若男女問わずして受け入れられる日常的メニュー開発が必要」という発想が和風のテーマを生んだという。
他にもローカルならではの取り組みがある。デリバリーには軽自動車を使うこと。衛星店舗を有することだ。
軽自動車は冬場の雪対策の活用だが、バイクに比べてメンテナンスコストがほとんどなし、償却期間が倍、安全面に優れるといったメリットがあるそうだ。
衛星店舗はユーザー密度の薄い立地条件をカバーするためのシステム。衛星店舗は、コンベアーオーブン、冷蔵庫、車両などデリバリーに必要最低限の機材を揃えただけの店舗展開で、その他の在庫管理、経理、下ごしらえなどはすべて本店に任せるものだ。出張店舗ともいうべきか。初期投資をさらに抑えて(一〇〇〇万円弱)出店できる魅力がある。
「テン・フォー」は今年の出店ターゲットを東北地方に置いている。外食チェーンは厳しい環境だが鍛えたノウハウでどこまで突き進めるか見ものだ。