注目の繁盛店 中国料理「均元楼」 風格磨いて40年、格安に豪華な逸品

1995.09.04 84号 19面

飯店からラーメン店まで含めて約三〇〇軒の中華料理店が軒を連ねているのが横浜中華街。善隣門をくぐり、中華街大通りに面しているのが創業四〇周年を迎えた「均元樓」(きんげんろう)。「食は広州にあり」と、日本人にはなじみのある広東料理をベースに、四川料理などをミックスした、いわば総合中国料理店だ。

横浜の観光名所の一つともなっている中華街だが、昨今はヤングを主体としたウインドショッピング化するなど、様変わりし、飲食店も一部を除いては客数、売上げとも減少気味。

一階はテーブルで、団体客一〇〇席、一般五〇席、二階には座敷スタイルで一五〇席の合わせて三〇〇席という「均元樓」。旅行会社とタイアップした団体客の確保には早くから力を入れており、今でも総売上高の五〇%以上はこれらの客で占められている。それだけに低価格志向に対応、三〇〇〇円、四〇〇〇円、五〇〇〇円と価格帯にあわせたコース(観光)メニュー(八人以上)はシーズンに合わせてメニューを組み替えるなど力を入れている。

ちなみに三〇〇〇円コースは(1)参色冷盆=三種冷菜盛り合わせ(2)蛤蜊腐羹=あさり貝と豆腐のスープ(3)脆炸双配=二種の揚げ物(4)彩炒蝦仁=五色野菜と小海老の炒め(5)沙茶肉片=豚肉バーベキューソース風味(6)蠣油仙草=きのこと野菜のカキ油炒め(7)葡萄汁魚=白身魚の赤ぶどうソースかけ(8)五絲伊麺=広東式焼そば(9)杏仁豆腐=アンニンドーフ‐‐質・量ともにバラエティーに富んだメニュー構成になっている。

また、一般客の獲得でもリーズナブルな飲茶セットを導入(オーダー二人から二〇〇〇円、三〇〇〇円セット)。ランチメニーは客への還元・サービスの意味もあり「回鍋肉片」(キャベツと肉の辛子味噌)、「蟹粉炒蛋」(カニと卵の炒め)、「玉米魚排」(白身魚とコーンの炒め)各六〇〇円(スープ・新香・ライス付)と本物の味を格安で提供している。

飲食店における低価格志向が大きなトレンドだけに、同店でも肉、エビなど素材類は冷凍食品を上手に使うとともに、タイ、イセエビなどの高級食材については、築地市場から買いつけるなど、仕入れ面では効率化を図っている。

“ゆったりとした席で楽しくゴージャス”がモットー。

年末の12月、それに年度始めの4月は月商五〇〇〇万円前後。今年に入って稼働率は落ちてきたというものの、年商四億円以上という繁盛ぶり(ランチを含めて平均客単価は三五〇〇円前後)。

本場の逸品と輝く伝統を持つ店だけに、今後も安定した推移が約束されよう。

季節ごと(年四回)のお勧め料理(7~8月)では「寧式炊鰻糊」(細切りうなぎのうま煮)二五〇〇円、「玉香〓茄餅」(肉詰め揚げナスの辛子煮)二〇〇〇円、「毛豆墨花丁」(枝豆と文甲イカの塩炒め)一八〇〇円(いずれも三~四人前)といったところが、人気メニューになっている。

また、全体的なメニューとしては、それぞれの季節感を出すために「旬の素材を出来るだけ多く使いたい」(山本猛調理長)としている。

なお、季節料理フェアでは、団体客、個人客含めて顧客リスト名簿を活用、DMでこれらに告知、客の獲得に結びつけている。

◆中国料理店「均元〓」/経営=高岡武士(神奈川県横浜市中区山下町一五二、Tel045・664・1809/店舗数=一(直営)

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