FCビジネス総点検 中華ファミリーレストラン「王将」
王将は「中華ファミリーレストラン」という位置づけの飲食ビジネスで、今年10月末現在、直営一九〇店、FC二三〇店の計四二〇店を出店する。
出店エリアは勢力地盤の関西をはじめ、東海、北陸、関東、中国、四国、九州と、北海道、東北地区を除き全国におよんでおり、ナショナルチェーンとしての市場戦略を展開している。
店舗展開はここ四、五年、年間一〇〇店前後のペースで伸びてきており、二一世紀の初頭にはとくに首都圏での出店を積極化して、トータルで一〇〇〇店舗を達成する計画だ。
王将は「安さ・うまさ・ボリューム」のメニューコンセプトを基本にした店舗運営でチェーン化を推進してきているが、看板商品はギョウザ、ラーメン、チャーハン、スブタ、とり唐揚、天津飯、焼きそば、中華丼の八品目で、これら商品で店舗売上げの七割を占めるという貢献度をみせている。
メニューはトータルでは前菜、点心、飯類・揚物、炒物、溜物、麺類・湯(スープ)など約五〇品目を提供するが、業態が中華レストランという位置づけでありながら、中華メニューにこだわらない弾力性のある店舗運営にある。
すでに導入済みのチキンバー、キムチ、サイコロステーキ、コロッケ、ミンチカツなどはその代表的なものだが、常にメニュー開発は意欲的で、店舗サイドでのメニュー企画にも寛大だ。
メニュー単価は四〇〇~五〇〇円前後がボリュームゾーンで、客単価は地域や店の規模によっても異なるが、八〇〇~一〇〇〇円前後。
FC展開については、社員の「のれん分け」(独立制度)に加え一般公募も行っているが、のれん分けでの店舗展開はFC全体の六割を占めており、王将のFCシステムを確実なものにしている。
FC一般公募はまず自らの経営意欲、資金調達能力があることが最大条件で、これをクリアできれば、店舗の開設は七坪(月商一〇〇〇万円の営業実績もある)から可能だ。
大型店ではロードサイド立地で、二五〇坪の規模もあるが、この規模の場合は当然のこととして投資コストが大きくなる。
店舗の立地条件は、駅前、繁華街、学生街、団地内のショッピングセンター、ロードサイドと人の往来があれば、どこでもOKだ。
契約期間は三年、出店一店目はロイヤルティーは徴収しない。店舗開設のモデル数値は、二五坪の場合で、FC加盟料一五〇万円、保証金一〇〇万円を加え、厨房・空調・家具・看板設営費一〇〇〇万円、内装工事費一五〇〇万円、物件保証金一五〇〇万円の計四二五〇万円。
この規模に対するモデル収支は、月商六〇〇万円で原材料四一%強、人件費二五%、水道光熱費五・八%、営業経費四・二%、賃貸費五・八%、減価償却費五%、オーナー利益一二・五%。粗利五八%。原材料コストがやや高いという印象を受けるが、しかし、オーナー利益が一二%を超えるというのは魅力的だ。
人件費が二五%。パパママ経営とアルバイト(パート)でのシフトを組めば、FCオーナーの収益はさらに増加するということになる。
このためには、自らが現場に出なくてはダメで、人まかせでは収益は出ない。王将は体力が勝負。商売大好き、キツさに耐えられなくては成功しないということだ。
(しま・こうたつ)
中華ファミリーレストランとしての位置づけで、「安くて、うまくて、ボリュームがある」をコンセプトに、集客力発揮(王将 東京・水道橋店)
・企業名/(株)王将フードサービス
・設 立/昭和49年7月
・所在地/本社・京都市山科区西野山射庭ノ上町二九四‐一
・電 話/075・592・1411
(東京地区本部・東京都新宿区高田馬場三‐一三‐一、03・3365・0024)
・資本金/六八億九〇八八万四四九六円
・代表取締役社長/加藤潔
・店舗数/直営一九〇店、FC二三〇店(平成7年10月末現在)
・売上高/三一〇億円(平成7年3月期)