飲食店の景気動向調査 上場・T店頭公開41社の業績(31面まで) 外食総研
平成6年度の上場・店頭公開企業の売上高は四一社全体で、平成5年度の対前年同期増減率一・七%増より二・二ポイント上昇し三・九%増となった。四一社でみるかぎり平成6年度は、平成5年度に比べ好転のきざしがみえている。平成7年度も各企業の決算報告書でみるかぎり売上げ、利益ともさらに上昇するものとみられる。
(財)外食産業総合調査研究センターが実施した「最近における飲食店の動向に関する調査」によると、景気後退の影響から、平成4年10月に比べ平成5年10月に、客数の減少した飲食店は全体の六七・九%、客単価が低下した飲食店も全体の五三・九%となったため売上高が減少となった飲食店は全体の六六・三%に達した。また、売上高の対前年減少率が一〇%以上の店舗は売上高が減少した店舗の五〇%弱になった。
お客の年齢が若いほど売上高が増加した店の割合が高く、高齢者をターゲットにした店ほど売上高が減少した店の割合が高くなっている。また、すし店(九五・八%)、中華料理店(八一・六%)、酒場・ビアホール(七六・五%)、料亭・割烹(七六・五%)、日本料理店(七一・二%)では売上高が減少した店の割合が高かった。
平成6年の売上高の見通しについては、平成5年の対前年実績に比べ好転を見込む店が増加している。
平成4年10月に比べ平成5年10月のパートなどの賃金・時給が上昇した店は四七・七%、地代・貸借料が上昇した店は一八・五%であった。総経費は、前年に比べ増加した店の割合は五四・九%、減少した店の割合は二四・六%で増加店が減少店の二倍を超えている。しかし、総経費の増加率の小さい店が総経費の増加した店の五〇%強であった。
平成4年10月に比べ平成5年10月の採算性が低下したとみられる店は七〇%に達し、また採算性が不変の店は二〇%、採算性が向上した店は一〇%程度にすぎない。現在の経営環境のもとでは、総経費の増減よりは売上高の増減が採算性に最も影響しているようだ。
平成4年10月に比べ、客単価が低下した店舗の割合は五三・九%、客単価の変化のなかった店舗が二七・九%、上昇した店舗は一六・九%で半数以上の店舗では客単価が低下している。
飲食店が経営上の問題、課題として挙げた事項は「客数の減少」「固定客の利用頻度の低下」「社用客の減少」「フリー客の減少」など客数の減少に関する事項が最も多く「客単価の低下」も問題で、その結果「売上高の減少」を挙げた店の割合は五四・八%となった。
売上高の回復・向上のためには、客数の増加とともに客単価の水準も重要である。また、新規メニューの開発と提供も客数の維持増大のため重要なファクターである。
平成5年9月以降にメニュー価格を改定した店は二二・九%。このうち九・四%の店では平成5年中に再改定を予定している。
全店舗の六〇・一%が昨年9月以降、価格改定を実施しておらず、その予定もない店であった。
メニュー価格の改定内容としては「一部のメニューを値上げし、残りのメニューを不変」とする場合が最も多く(四六・五%)、次いで「一部のメニューを値下げし、残りを不変」とした店(二四・六%)が多くなっている。「全メニュー価格を引き上げた」店は一二・〇%、「全メニューを引き下げた」店はほとんどなかった。
メニュー価格の改定を「低い価格帯」で実施した店は四二・五%、「中位の価格帯」で実施した店は全体の三〇・九%、「高い価格帯」で実施した店は全体の三六・六%であった。
このようなメニュー価格の改定の結果、メニューの平均価格が上昇した店は全体の二八・六%、不変であった店は五五・〇%、低下した店が一五・四%となったが、平均的な上昇率が「四%以内」の店は上昇した店舗の大部分(八〇%)を占め、メニュー価格が低下した店でもその七五%は「四%以内」の低下率にとどまっており、メニュー価格は不変であるが、上昇・低下しても小幅な店が大部分であった。
また、メニュー価格の改定と料理の「量」との関係では、「価格不変・量不変のメニュー」のある店が最も多く(全体の五三・一%)ついで「メニュー価格を引き上げ、量不変のメニュー」のある店の割合(二八・九%)が多くなっている。
新規メニューの開発は「季節感のあるメニューの提供」が全体の店の(四四・四%)、「珍しいメニューの提供」(二五・六%)、「新しい分野のメニューの提供」(二三・七%)、「ボリューム感のあるメニューの提供」(二一・五%)などを目的、狙いとして行われていることが多い。
低価格メニューを導入するため既存のメニューコンセプトを変更した店は全体の二二・四%だが、主要な目的は「主食材を仕入価格の安いものに変えるため」(コンセプトを変更した店は全体の四五・二%)、「副食材を安いものに変えるため」(三五・六%)にコンセプトを変更することが多かった。
メニューの数はお客の選択度やメニューコストの面からみて重要なファクターとなっている。
メニュー数が増加した店は全体の三七・一%を占め、変化のなかった店舗五〇・三%、メニュー数が減少した店は一一・二%であったが、メニュー数が増えた店でもその八〇%は「四%以内」の増加率にとどまっている。メニュー数が減少した店舗でもその八〇%強は「四%以内」の減少であり、全体的にはメニュー数に大きな変化はみられなかった。
メニューを増やした価格帯は「中位の価格帯」が中心で、増加させた店の六六%がこの価格帯で増加させ、ついで四五%が「低位の価格帯」で、さらに二三%が「高い価格帯」でメニューの数をを増やしている。
逆にメニュー数を減らした価格帯は「高い価格帯」が中心でメニューを減らした店の五三%がこの価格帯でメニューを減らしている。
〈調査対象の選定と調査方法〉
▼調査対象の選定=調査対象地区・札幌、仙台、東京、金沢、名古屋、京都、大阪、広島、高松、福岡。NTT「タウンページ」を利用、一都市二七〇店舗を業種に系統抽出、日本給食サービス協会会員企業一五〇社、日本惣菜協会会員企業から一五〇社を別途抽出、総対象数を三〇〇〇とした。
フードサービスビジネスは、業種・業態によってメニューの形態、構成する内容に大きな違いがある。
不特定の人々を相手とする一般飲食店と特定の人々に食事を供する事業所給食との間には、大きな差があり、一般飲食店の中でも在来型の飲食店とチェーン型飲食店では、メニューに対する考え方に差がある。
在来型飲食店でも“ハレ”の場を演出する高級レストラン、高級専門店と、昼食などの日常的な食事のニーズに応える飲食店とでは差がある。メニューの基本的な形態においても、一般飲食店が固定メニューを中心に得意分野の中で、それぞれ特徴を出しているのに対して、事業所給食は日替わりメニューを基本としている。
最近のメニューに関する傾向は大きく変化している。高級専門店、ディナーレストランは、食の高度化、多様化や日本人の海外旅行が増加、海外で現地の料理に接する機会が増えてきたなどを背景にして、各地域別に専門料理として分化する傾向が強まっている。
これまではポピュラーであった中国料理やフランス料理では、田舎風や家庭料理を強調したものや、地域の特徴を強く出したもの、軽い食事だけが楽しめるように変えたり工夫されている。また、ヨーロッパ各国ごと、ドイツ、イタリア、スペイン、スイスなどの専門店が大都会を中心に普及定着している。さらには、これまであまりポピュラーでなかったアジア各国の料理、インド、朝鮮、タイ、ベトナム、パキスタン、フィリピンや、アフリカ、南米料理の専門店も出て、それなりの地位を築きあげている。
◆一般飲食店新規導入に工夫こらす
これまであまりメニュー開発に熱心でなかった中小飲食店でも、メニューについて各種の工夫や新規メニューの導入に積極的になっている。
そば・うどん店でも新しいメニューが出てきて、そばの充実や丼もののブームもあって小型の丼セットとして提供するタイプも多くなっている。すしでも、これまでには考えられない具を使ったすしもでてきている。
◆FR&FF多くなった内容の変更
FR、FFでは最近、メニューの内容を大きく変更する企業が多くなっている。特にFRでは、これまでの洋食から、和食、中華、エスニック料理のメニューを追加、入れ替えし、内容を大きく変更させている。また、外食がかなり日常的な食事の中に組み込まれた関係から、カロリー表示などの利用者の健康に留意したメニュー作りも行われ、メニューへカロリー表示したものや、希望者にはカロリーや栄養素を書いたパンフレットを渡すチェーンも多くなっている。
◆事業所給食レベル上げ多様化進む
事業所給食においても、食事内容のレベルアップについて利用者からの要望が強く、各種の工夫をしている。定食主体は変わらないが、喫食者が好きに選択できるようにメニューバラエティーを増やしたり、大規模事業所では、カフェテリア方式の導入も一段と増加している。
メニューの形態上の変化と同時に食材の内容や厨房の技術革新も急テンポに進んでいる。食材の動向としては、グルメ食材の利用が進行している。これは食事の内容の高度化に伴い、各種の高級食材の利用により、他店との差別化を図るため、フォアグラ、トリフ、キャビアなど国際的にも高級とされるものの使用が増大している。また、一般飲食店でも、これまであまり使わなかった高級エビ、カニ、イクラ、フグ、鴨など高い頻度で使用されるようになった。
また、労働力、生ゴミの処理の問題から、店舗での加工を最小限にするニーズが強く、半調理、調理済み食品の利用が、伝統的な飲食店にも拡大している。一方では、消費者の健康に対する関心の深さや、飲食店の素材に対するこだわり、良い食材、本場の食材を使いたいということから、有機野菜の利用や昔ながらの手作り食材の利用もさかんに行われている。














