地域ルポ 四谷3丁目(東京・新宿) 夜は居酒屋、サラリーマンの街 悩みは土・日
営団地下鉄丸の内線四谷三丁目。乗降者数一日平均五万人、東西方向の新宿通り、南北方向の外苑東通りがクロスする半径一五〇mほどの狭いエリアだが、食品スーパーの「丸正」「セイフー」などの大型商業施設ほか、個店、大手外食チェーンなど飲食店舗の集合が進んでおり、独自の賑わいをみせている。
目につく飲食チェーンでは、交差点そばのハンバーガーショップ・サンテオレをはじめ、ケンタッキーフライドチキン、吉野家、ドトールコーヒー、ステーキレストランくいしんぼ、居酒屋チェーンつぼ八、庄や、藩、りきしゃまんなどが、また、個店(多店舗化志向)では焼き肉レストラン羅生門、叙々苑、手もみラーメン福ふく、ごはん処大戸屋、欧風カレーとエスプレッソコーヒーが売りのオーベルジーヌなど個性的な店も多く出店している。一方、通りに面してはオフィスビルや飲食および雑居ビルが、通りの裏や路地に入れば、マンションや低層住宅がひしめき、それを浸食する形で夜の顔の飲み屋街も形成している。街の立地特性は“サラリーマンの街”であり、地域住民をターゲットにした“商店街”でもあるということだが、土・日・祭日は会社が休みになるので、ほとんどの場合店の集客は大幅にダウンする。
地下のホームから地上に出る。即新宿通りが目前に展開するが、歩道を交差点方向へ歩く。外苑東通りの角。新宿御苑方向へ渡る横断歩道、この後方に飲食ビル(中央ビル)が立つ。
地下一階に「つぼ八」(四谷三丁目交差点店)。この店はFC店で、同一オーナーで新宿通りにも出店している。丸正左隣の光明堂ビル地下一階「三丁目店」がそれ。
中央ビル一階はハンバーガーチェーンの「サンテオレ」。二階小皿料理の「香港食堂」、四、五階に焼き肉レストラン「叙々苑」、六階に姉妹店の「しゃぶ叙」が展開する。
このビルの南隣、一、二階に洋菓子と喫茶の東京風月堂、少し離れて四谷警察署の手前にはビル一階に庄やチェーン。外苑東通り沿い四谷側に立地する目につく飲食店舗だ。
サンテオレは明治乳業系の飲食ビジネスで、現在東京を勢力地盤に直営一七店、FC八四店を展開する。四谷三丁目店は一五年前のオープンで直営店。
店舗面積二四坪、客席数四〇席。客層は地域のサラリーマンやOL、主婦、学生、ファミリー客など。
主力商品はヒレカツバーガー、ダブルテリヤキバーガー、チキンテリヤキバーガー各二九〇円、チーズバーガー二四〇円、ピザバーガー二八〇円、ドリンク一六〇円など。
客単価五五〇円、月商八〇〇~九〇〇万円。角地出店のハンバーガーレストランにしては、売上げが不十分という印象だ。
営業時間は平日午前7時30分~午後9時30分、日・祭の閉店は午後8時。
地下一階のつぼ八交差点店は平成6年12月開店。店舗面積三六坪、客席数七〇席。
客層は平日はサラリーマンが主体。土・日・祭日は地域への来街者、ファミリー客など。客単価二三〇〇円、月商約一〇〇〇万円。
営業時間は午後5時~翌朝3時。深夜は同業他社など飲食関係の利用が多い。
叙々苑は平成6年6月オープン。本店が六本木にあり、焼き肉レストランとしての知名度は高い。都内を中心に現在直営二四店を展開している。
店舗面積ツーフロア合わせて七〇坪、客席数計八〇席。客層は会社関係やカップル、ファミリー客など。客単価は昼夜平均して四〇〇〇~五〇〇〇円。月商二〇〇〇万円以上。
営業時間午前11時30分~翌朝4時、日・祭は3時までの営業。
六階のしゃぶ叙は姉妹店で叙々苑と同時期のオープン。店舗面積約三〇坪、客席数二七席。客単価三〇〇〇~四〇〇〇円、月商約一〇〇〇万円。営業時間は午後5時~翌朝2時まで。
南隣りビルの東京風月堂は一六年前のオープン。地域では老舗格の店だ。一、二階での出店で計八六坪、一三〇席。
客層はサラリーマン、OLを主体に八割。残り二割が主婦や近接地から来店するフジTV、文化放送、サンミュージックといった放送、マスコミ関係者やタレントなど。
土・日・祭日は平日に比べ三割ほど客数が落ち込む。客単価は昼夜平均して八〇〇円。人気メニューはケーキセット(コーヒーまたは紅茶付き)七五〇円、パスタ、カレーハンバーグなど八五〇円(同)。営業時間平日午前9時~午後10時、日・祭9時まで。月商一五〇〇~一六〇〇万円。
四谷警察署の手前、庄やチェーン四谷三丁目店も風月堂と同時期の一五~六年前のオープン。店舗面積三〇坪、客席数は七〇席。固定客(六~七割)が多いので、集客は比較的安定している。
平日はサラリーマン主体、土・日・祭日は地元客、地域への来街者など。客単価二五〇〇円。月商約一〇〇〇万円。営業時間午後4時~翌朝4時まで。