五感に訴える店づくり・メニューづくり 「すぺいん亭」
表の大きな鍋が目を引き、何か面白そうな店として話題を呼び、口づてに訪れる人が後を絶たない。
スペイン料理を看板として「取り澄ました味ではなくヨーロッパの田舎の味、お袋の味を出そう」(村田禮三オーナーシェフ)とオープンしたのが一二年前。 独立前にはフランス料理、スペイン料理の経験があり、自己の料理ノウハウと川越という土地柄に合わせて「出したい料理、出せる料理」を吟味し、気軽に立ち寄れる店作りとした。
珍しいからと一度来た人が、意外にアットホームな雰囲気と料理に親しみを覚え、客から客へと口コミで店名は広がった。
店主は、どこの国でもおいしいものはおいしい、味覚学習によりおいしさの幅は広がるというのが持論。
「自分でも構えず、スペイン料理で日本人に合う味を少しずつピックアップした」のが奏功したようだ。
また、ワインを身近なものにしようと価格を仕入値プラス一〇〇〇円とし、一日一ケースを売る。「作り手からの対面販売のせいか、お客も素直な気持ちで受け入れてくれます」。
スペイン色あふれる店内は、オープン当初はカウンターだけだったが、一二年の間にオーナー自らの手作りで今の一〇〇席の店舗にしたものだ。
現在、7月を目途に一二〇坪、約二五〇人収容の二店舗目を手がけており、「スケールメリットを生かした食材の吟味ができる」と期待に胸を膨らませる。
一二年前のオープン以来通い続けている小出圭子さん。
「表の大きな鍋に引かれ入ってきたが、味が気に入りひいきにしています」
好きなものはワンパターンで注文してしまい、今のお気に入りは、タコのガルシア風、エジプト豆、ガスパッチョなど酒のつまみ的なもの。
酒好きのご夫婦は外食が多く、中華、すし、洋食とジャンルは問わないが「酒にはこだわり」今日はスペインビールだ。一回の食事代は約八〇〇〇円。
〈人気メニューベスト5〉
★マッシュルームのワイン煮………………900円
★バスク地方名物・スペインオムレツ……300円
★イカの墨煮…1000円
★パエリヤ(二人前~)…………………2400円
★ラマンチャの花400円