外食史に残したいロングセラー探訪(99)上等カレー「カツカレーライス」
◆甘さの後に追いかける辛さ! 秘伝のエキスが味の決め手 ダントツ人気は豚カツのせ
大阪で生まれた「上等カレー」。上等カレーとは、メニュー名ではなく店名。創業者の瀬戸口勝幸社長が、使用する材料が上等だからと名付けた。国産牛肉と玉ネギを使い、数種類のスパイスと秘伝のエキスを加えて作るカレーライスは、1995年、西区江戸堀で「上等カレー江戸堀店」からスタートした。独特の味わいに、行列のできる店となり、今では関東にも進出。50店舗に広がっている。
●商品の発祥:うどん店がスタート
上等カレーを運営する得正は、1983年に「手打ちうどん得正」として創業した。瀬戸口社長は、うどん屋をしながらも、来店客を待たせずに料理を提供できるカレーライスに魅力を感じていた。もともと大のカレー好き。研究を重ね、「名物カレーうどん得正」を開業してヒットさせ、カレーライスの専門店「上等カレー」につなげていく。
奥が深く、余韻のある味わいを目指して作り上げたカレーライスは、メディアに紹介され、人気に火が付いた。
●商品の特徴:門外不出の秘伝エキス
味の特徴は、カレーライスを口に含んだ瞬間は、甘さが広がり、食べ進めるにつれ、うま味のある辛さが押し寄せ、余韻が長いこと。時間差で違った味の印象を感じられる。屋号にも表現されている通り、材料は上等な国産牛肉と玉ネギを使う。オリジナル配合のスパイスを加えて、圧力調理をし、急速に冷却した後、3度Cの熟成室で一定時間熟成を行う。一番の味の決め手は、大阪市内の製造所で手作りする秘伝のエキス。製法は、瀬戸口社長を含む3人しか知らないというまさしく門外不出のエキスである。
●販売実績:1日平均5000杯!
2000年からフランチャイズ制を導入した。近年は「上等カレーBR」という、通常の上等カレー店よりも低価格帯の店も展開。大阪で生まれたカレーは、中部や関東にも進出した。1日平均5000杯のカレーが食べられており、一番人気はカツカレーライス。全50店中、最も高い売上げを誇るのは、イオンレイクタウン店(埼玉県越谷市)になる。
辛口の味わいゆえか、フードコートを除くと、8~9割が男性客。もっと辛さを求める客用には、辛口スパイスがテーブルに置いてある。
富永スーパーバイザーは、「入社後、1年かけて100店近くのカレーライスを食べましたが、うちのカレーライスが一番おいしかった。味には、絶対的な自信があります」と胸を張って語った。
●企業データ
社名=得正/本社所在地=大阪市中央区安土町3-2-16/店舗数=上等カレー50店(直営15店、のれん分け12店、フランチャイズ23店)、カレーうどん得正16店、カレーライス得正7店、グリルフレンドシップ1店/事業内容=カレーライス、うどんなどの飲食業。カレーライスは、卵との相性がいい。同店では、得正カレーの真髄として「初め甘いが後追う辛さ卵落とせば又コク深し、これクセになる三段攻めなり」と説明している。画像は、福島本店。