メニュートレンド:プレーン生地で“つけピザ” ピザの新しい食べ方を提案
「La casa di Nao」のオーナーシェフ・石橋尚幸氏は日本のイタリア料理界をけん引してきた、まさに“重鎮”。スイスの日本大使館、本場イタリアの日本大使館総料理長を経て、帰国後は、日本におけるイタリア料理店のレジェンドとなる数々の店をプロデュースするという経歴の持ち主。イタリア料理界のみならず、「食」に携わる者なら、その名を知らない者はいないと言っていいだろう。イタリア料理を知り尽くした石橋氏が、新メニューとして発案したのが「ピッツア ビアンコ」だ。
●シンプルだからこそ生地で勝負
石橋氏といえば、石釜でまきを使って生地を焼く、本格的なローマスタイルのピザを日本に紹介したことで知られている。ピザはローマスタイルとナポリスタイルに大別され、ナポリピザは生地が厚めで、もちもちした食感。代表的なソースは、トマトソースをベースにモッツァレラチーズ、バジリコを組み合わせた「マルゲリータ」。
対するローマピザは、ナポリピザに比べて生地が薄く、パリパリしたクリスピーな食感が特徴だ。「ピッツア ビアンコ」は、もちろんローマピザ。薄く伸ばした生地を「La casa di Nao」自慢の石釜で、ムラなくカリッと焼き上げている。
ピザといえば、生地の上にさまざまな具がのっているイメージがあるが、これは写真のとおりのシンプルさ。一瞬、「えっ! これが、ピザ?」と思うが、生地に自信があるからこそ提供できる、石橋氏のユニークな逸品だ。
メニュー名にある「ビアンコ」とはイタリア語で「白」の意味。トマトソースを使わないピザのことを「ビアンコ」と呼ぶが、「La casa di Nao」の「ピッツア ビアンコ」は、トマトソースはもちろん、あれこれ具をのせず、生地自体の色が際立つ。ベースとなる生地にガーリックオイル、オレガノ、パルメジャンチーズの最高峰である「パルメジャーノ・レッジャーノ」だけをかけて焼き上げている。
このメニューをさらに特徴づけているのが、このシンプルな生地に別に用意されたソースを付けて食べるという、つけ麺ならぬ・つけピザ・的な食べ方だ。ソースの一つは刻んだカラフルトマト、オリーブオイル、バジル、塩、コショウを合わせたもの。カラフルトマトは石橋シェフが選び抜き、福岡県久留米市の契約農家から取り寄せている。カラフルな色合いがプレーン生地に映えて、見た目も演出。もう一つは、ゴルゴンゾーラチーズと生クリームを混ぜたもの。
客は好きなソースを、好きな量だけ付けて食べることができる。まずは、何も付けずにプレーン生地そのものの味を確認し、次にソースをかける。二つのソースを混ぜると、また違った味わいになるなど、1枚のピザで食べ方をいろいろ楽しめるのが「ピッツア ビアンコ」の特徴だ。
「常連のお客さまから『ちょっと変わった、ビックリするようなピザを作ってほしい』とリクエストされて考案したものです。生地が薄くて軽いローマピッツアだからこそ、あとからソースを付ける食べ方に合いますね。お客さまの評判も上々です」と石橋シェフ。次の新作ピザの誕生にも大いに期待が持てそうだ。
●店舗情報
「La casa di Nao 福岡本店」 所在地=福岡県福岡市中央区薬院4-8-6/開業=2007年6月/営業時間=午前11時30分~午後2時、6時~11時30分 水曜日定休/坪数・席数=30坪・48席/1日平均客数=約50人/平均客単価=昼2000円、夜6000円
●愛用資材・食材
「ピノキオ・ピールド・ホールトマト」 ハイブリックス(原産国:イタリア)、大倉フーズ(輸入販売)
トマトの濃厚さが特徴
南イタリアの太陽の恵みをたくさん受けて育ったトマトを使用。トマトは通常の倍の選別時間をかけ厳選されたものを使用した、プレミアムなホールトマト缶。「ピッツアでもパスタでもうちのトマトソースには欠かせません。水煮缶ですが、トマトジュースが入っているので水っぽくなく、トマトの濃厚な味が生きているところが気に入っています」と石橋シェフの一押し。
規格=2550g