メニュートレンド:テリーヌのトッピングに驚き 馬鹿坊「醤油鶏そば」
大阪市北区の中崎町にある「馬鹿坊(ばかぼん)」は、昼はラーメン、夜は中華料理を提供する店。中でもラーメンには、テリーヌがトッピングされており、その驚きの発想が話題を呼んでいる。あえて看板を出さず、口コミから利用客が広がっているという同店の魅力を紹介する。
●スープに溶け込む絶妙の軟らかさ 看板なく口コミで集客
看板がなく、店名入りののれんだけが目印の「馬鹿坊」。外観は、和食店のような落ち着いた雰囲気で、一見して何の店か分からない。勇気を出して扉を開けると、そこはカウンターのみのラーメン店というギャップに、客はまず驚かされる。
同店は、鶏がらとモミジ、丸鶏から取る鶏白湯スープの味で勝負する店。実は、近隣には同一経営の豚骨ラーメン店があり、同店はそのネクストブランドである。「豚骨ラーメンでは、濃厚さをウリにしているので、今度はあっさり系でと考えました。違うものをやることで、新しい客の獲得につなげるのが狙いでした」と、劉宝俊店主。実際に、各店それぞれに違う常連が付き、共存ができているという。
同店の看板メニューは、「醤油鶏そば」と「塩鶏そば」(各800円)。醤油鶏そばには、香川県の刺身醤油を使用し、甘味あるスープに調味。また、塩鶏そばには鶏節もトッピングして、より鶏の風味をプラスしている。麺は、特注の平打ち中太14番を採用している。
この2メニューの人気の秘密は、メーンのラーメンの味はもちろん、ユニークなトッピングにある。定番のチャーシューとともに添えられているのは、ラーメン店とは縁のないテリーヌ。食べ進むうちに、テリーヌは徐々に溶けていくため、スープの濃度と味の変化を楽しむことができるのが魅力だ。
その発想は、フランス料理に詳しい知人からのアドバイスもあり生まれたもの。しかし、完成までには多くの試行錯誤を重ねたという。まず追及したのが、スープと融合して少しずつ崩れるような軟らかさ。また、800円のラーメンのトッピングとして、見合うコストであるかも検討したという。
テリーヌのベースは、鶏むね肉と鶏レバー、豚ベーコン。白ワインで30分~40分ほど煮込み、ミキシングして型に入れ、一晩寝かせて絶妙な軟らかさに仕上げている。材料には、野菜や香草、ユズなども使用しており、さっぱりとした味わい。一般的なテリーヌのようなこってり感がないので、醤油や塩のスープにも違和感なくなじむ。
同店では、昼のラーメンは1階カウンターのみで営業し、夜は2階のテーブルも予約席として利用し、激辛四川料理店を営業。こちらも、“知る人ぞ知る店”として、常連客でにぎわっている。今後は、また違うタイプのラーメンや中華料理に挑戦し、郊外でのファミリー向けの店舗展開も目指したいという。
●店舗情報
「馬鹿坊(ばかぼん)」 所在地=大阪府大阪市北区浮田1-4-10/開業=2015年3月/営業時間=ラーメン 午前11時~午後3時、中華 午後6時~11時、火曜定休/坪数・席数=1階約12坪・9席、2階約12坪・20席/1日平均客数=昼30人、夜30人/平均客単価=昼1000円、夜2000円
●愛用資材・食材
「鶏むね肉・鶏レバー・豚ベーコン」 中日本フード(大阪府大阪市)
テリーヌのベース
ラーメンのトッピングとして活躍するテリーヌのベースになるのが、鶏むね肉と鶏レバー、豚ベーコン。鶏肉のあっさり感にベーコンの甘味が加わり、ラーメンに合う独特のテリーヌに仕上がる。この3種類の黄金比が軟らかさや味に直結する、欠かせない愛用食材である。