アポなし!新業態チェック(119)「UMAMI BURGER(ウマミバーガー)」青山店
●米国のグルメバーガーが日本に上陸 日本の「うま味」をコンセプトに
ファッションブランドなどの輸入販売を手掛けるメディロスホールディングスが、米国カリフォルニア生まれのハンバーガーレストラン「UMAMI BURGER(ウマミバーガー)」の日本1号店を、東京・青山に出店した。
同店は、2009年にロサンゼルスで1号店を出店。その後の6年間で五つの州に24店舗を展開し、米国の有力雑誌では年間のベストバーガーに選ばれるなど、大きな話題を呼んだ人気店だ。店名は日本語の「うま味」を意味しており、創業者のアダム・フライシュマン氏が食材のうま味を引き出す和食の考え方を取り入れたことから名付けられたという。
同店のメニューアイテムは数多く、看板商品の「ウマミバーガー」(1380円・税抜き)は、ローストトマト、椎茸、パルメザン、キャラメルオニオンなどをトッピングしたもの。他に、「トリュフバーガー」(1480円)「マンリーバーガー」(1580円)「ロイヤルバーガー」(1780円)など、バーガー類だけで10数種類がある。パティがチキンのバーガーなどもあり、日本限定メニューとして「テリヤキバーガー」(1380円)と「フィッシュカレーバーガー」(1280円)が用意されている。
フレンチフライなどサイドメニューもバラエティ豊かで、サラダやデザートもレストランスタイルで提供。飲料メニューはソフトドリンクの他、ワインやクラフトビール、カクテルなどのアルコール類も充実しており、ディナー時間帯にも対応できる品揃えだ。
同店の運営は、グループ会社のウマミバーガージャパンが行い、今後国内で多店舗化を計画している。
★けんじの評価 出店立地の影響かやや集客に不安
近年、異業種企業が外食事業に参入するケースが増えている。とりわけ、ライフスタイルのトレンドをとらえる感覚が鋭いファッション関連企業が、海外から話題の飲食ブランドを日本に持ち込むという事例が数多い。また、当初から多店舗化を前提としているのも近年の傾向だろう。
「ウマミバーガー」は、いわゆるグルメバーガー系のハンバーガーレストランだ。すでに「SUSHI」が料理のカテゴリーとしてポピュラーな存在になった米国で、「日本料理のおいしさの秘密は“うま味”にあった」というコンセプトを打ち出して人気を集めた。食材の持つうま味成分を調理に利用しているのはどの国であっても同じだろうと思うが、うま味成分だけを抽出しただしを作り、そのだしをさまざまな料理に流用する方法は、和食の特徴ではあるのかもしれない。いずれにしても、ハンバーガーが国民食である米国ならではのコンセプトだといえるだろう。今回、海外1号店が日本になったのも、そうしたコンセプトから創業者が日本への出店を優先したからであるという。
筆者は米国のシンプルな料理が比較的好きな部類の人間だ。例えば朝食の献立としては米国のスタンダードなメニューが一番おいしいと思っている。同店のハンバーガーもそれなりにおいしいとは思うのだが、外食ビジネスとして考えた場合、この立地と物件でこのスタイル、この価格帯での展開はなかなか厳しいのではないだろうか。米国とは違い、日本におけるグルメバーガーの市場はかなり限られている。同店の今後の動向を見守りたいと思う。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「UMAMI BURGER(ウマミバーガー)」青山店
開業=2017年3月24日/所在地=東京都港区北青山3-15-5 Portofino内