アポなし!新業態チェック(120)「egg(エッグ)」東京
●ニューヨークからまた朝食の人気店 産地直送で仕入れたこだわり食材が特徴
米ニューヨークでアメリカ南部の伝統的な朝食メニューを提供する人気店「egg」が、東京・池袋にオープンした。海外初の店舗を出店したのは同店の米本社であるパストゥール・マネジメント。
「egg」は、2005年にオーナーのジョージ・ウェルド氏がブルックリンのウィリアムズバーグで創業。メーン食材の卵など、多くの材料を近郊の農園から直接仕入れ、ニューヨークのファーム・トゥ・テーブル(産直仕入れ)トレンドを牽引した。素材にこだわった料理が人気を呼び、その後、多くの有力メディアに取り上げられて瞬く間に観光客も訪れる超人気店の座を確保した。
日本1号店のメニューは、同店の看板メニューである「エッグ ロスコ」(1800円・税抜き)をはじめ、「ビスケット&グレイビー」(1300円)「お好きな卵料理」(1200円)「オーガニック小麦のパンケーキ」(1500円)「ブリオッシュフレンチトースト」(1700円)など、朝食料理の定番アイテムが全日提供される。さらに11時30分からのランチには、「ハンバーガー」(1800円)や「チキンカツレツサンド」(1700円)といった、少しボリュームのある料理も加わるという構成となっている。
ソフトドリンクは、「ドリップコーヒー」(480円)「フレンチプレス コーヒー」(580円~)「紅茶」(450円)など。ニューヨークの本店とは異なり、夜9時までの営業となる東京店では、ビールやワインの他、軽いおつまみになるような一品料理も用意されている。
女性を中心に人気の高い朝食系カフェに、また新たな有力ブランドが参戦した。
★けんじの評価 池袋でブランド力発揮できるか
アメリカでは朝から外食を利用する人々がとても多い。特にニューヨークのような都市部では、週末のブランチ利用も大きな売上げを占めるため、こうしたマーケットを狙った店はカフェやデリなどを含めて数多く存在する。すでにオーガニック食材が定着している米国では、今後はこうした産地や生産者の顔が見えるというコンセプトが加速するように思える。
同店の有名な看板メニュー「エッグ ロスコ」は、スライスしたデニッシュパンの真ん中に卵を落とし、チーズをかけて焼き上げたもの。メニューに並ぶ料理の多くはオーソドックスなものだが、産直の有精卵を使用したり、付け合わせがソテーしたケールやドライトマトであるなど、ちょっとしたアイデアや工夫が魅力の理由となっている。
ニューヨークにある「egg」の本店は、営業時間が朝7時から夕方5時頃までだが、(週末は朝8時から)さすがに東京ではそうした時間帯だけでは営業が成立しない。本店にはないアルコール類やおつまみ的なメニューを追加し、ディナー時間帯の利用も狙っている。だが9時までという微妙な時間帯で、どのような客層を集めることができるのか、価格帯の設定とともに今後の推移が注目される。
本店のあるブルックリンのウィリアムズバーグ地区は、マンハッタンの南東部からイーストリバーを隔てたやや特殊な立地だ。この地域を知る日本人にとって、同店が出店した池袋というエリアがどのような印象で迎えられるか。あるいは地元池袋の人々が同店をどう評価するか。そうしたあたりに今後の動向を占う鍵があるように思える。
(外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
「egg(エッグ)」東京
開業=2017年4月21日/所在地=東京都豊島区西池袋2-37-4 としま産業振興プラザ IKE・biz 1階