メニュートレンド:ウナギをご飯と蒸し上げうま味凝縮「山茶花亭」

2018.03.05 469号 02面
鰻せいろまぶし 梅2,160円、竹3,456円、特上4,968円(すべて税込み)

鰻せいろまぶし 梅2,160円、竹3,456円、特上4,968円(すべて税込み)

 日本が誇るごちそうである「ウナギの蒲焼き」だが、調理手順や食べ方を見ると地域ごとに独自の文化を形成している点がユニークだ。そうした調理法の違いに着目し、すべての長所を融合させて新しい蒲焼きのスタイルを誕生させたのが千葉・市川の和食レストラン「山茶花亭」の名物料理「鰻せいろまぶし」だ。

 ●各地のウナギ料理をいいとこ取り 夏には月間1,200食を販売

 「他店にない看板商品を開発したいと考えてひらめいたのが、かつて旅行先で食べた福岡・柳川の“ウナギせいろ蒸し”でした。関東ではなじみの薄い料理法ですが、誰もが認めるごちそう食材のウナギで新しい提案ができると思ったんです」と経営の功徳林代表取締役社長・鈴木雄一さんは語る。

 鈴木社長の弟で料理長を務める洋平さんをはじめ調理スタッフ全員に現地の味を体験させ、せいろ蒸しの開発がスタート。延べ2年の月日と100回を超える試食を繰り返して誕生したのが同品である。

 ここでおさらいしておこう。関東風のウナギの蒲焼きは、白焼きした後に蒸して身を軟らかくしてからタレを付けて焼く。結果、身がほどけるようなフワッと軟らかな食感が特徴だが、蒸している時にウナギのうま味も落ちてしまう難点があった。その点、せいろ蒸しは最初にタレを付けて香ばしく焼いた後に、ご飯の上にのせて蒸し上げることで、身が軟らかい上にご飯にウナギのうま味が染み込み、ウナギの味を存分に堪能できるところがポイントだ。

 原料のウナギは愛知県産の1尾330g前後と大きめのものを厳選。肉厚でたっぷりと脂がのっているから、せいろ蒸しの利点を生かすのに最適だ。ただぜいたくな話だが、最初から最後まで濃厚な味が続くと、どうしても食べ疲れしやすい。それを解決したのが、愛知県名古屋市のウナギ料理「ひつまぶし」の食べ方だ。最初はそのまま、途中からお茶碗を使ってワサビなど薬味を混ぜて食べ、最後にお茶漬けにして締める。二つの地域特有の食べ方を融合したことで、最後までおいしく食べられる「せいろまぶし」が誕生したというわけだ。

 抜群の商品力を発揮して、ウナギのシーズンである8月には月間1200食を売る大ヒットを記録。客層も30代の子連れファミリーから年輩まで幅広い層の集客に成功している。

 「最近は口コミを聞いた九州出身のお客さまが目的来店されるケースが増えています」と鈴木社長は顔をほころばせる。今後も同品の磨き上げを継続し、デリバリーにも着手するなど「せいろまぶし」の食文化定着に尽力する考えだ。

 ●店舗情報

 「山茶花亭」 所在地=千葉県市川市新井3-17-17/開業=2017年3月1日/坪数・席数=50坪・70席/営業時間=11時30分~15時30分。年末年始休/平均客単価=2400円/1日平均客数=50人

 ●愛用資材・食材

 「こいくち醤油 芙蓉」

 森山醸造食品(福岡県柳川市)

 本場柳川の味の極甘口醤油

 「ウナギせいろ蒸し」の発祥である福岡・柳川の老舗醤油メーカーの60年以上にわたる主力商品。九州地方特有の甘口醤油で、本場の味を表現するのに欠かせない調味料だ。同店では関東の醤油と合わせて江戸前の味に慣れた主客層にも受け入れられる味付けに仕上げている。

 規格=1L、1.8L、20L(常温)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド