食材トレンド:808ファクトリー・レタス活用ルポ 植物工場産レタスの可能性を探る!
808ファクトリーのレタスは、同社が立地する静岡県を皮切りに認知普及が進んでいる。工場竣工・初出荷からわずか4年目だが、静岡県民は皆「全国区のレタス」だと思っているほど食生活に浸透している。そのけん引役である県内有力スーパー「しずてつストア」、外食(業務用)での活用に先駆けた「焼肉飯店 京昌園」の取り扱い事例を紹介する。
●品質向上と省力化を両立 鮮度優先と迅速提供に貢献
総料理長 白出栄一郎氏
静岡県内に焼肉8店舗を展開する「焼肉飯店 京昌園」は昨年12月、サンチュ(包み菜)として提供するチシャ菜の代わりにグリーンリーフレタス、サラダに使うサニーレタスの代わりにフリルレタスを採用した。以来、「仕込みの省力化」と「料理の品質アップ」を両立するなど、想定以上の成果を実感しているという。
採用を決意したのは白出栄一郎総料理長。ここ数年、団体予約が好調で一度に大人数分を提供する機会が増えている。しかし「作り置きは避けたい」という鮮度優先の意向から、洗わず手早く使える808ファクトリーの植物工場産レタスに着目した。
白出総料理長は「チシャ菜やサニーレタスの仕込みは水洗浄が一苦労。虫や砂が混じっていないか、葉を一枚一枚のばして異物混入をチェックする必要があり、水切りにも時間がかかります」と明かし、「808ファクトリーのレタスは、袋を開けて洗わずに使えるのでホントに楽。仕込みの労力を削減できるだけでなく、注文後に即対応できるので、仕込み切れによるチャンスロスもなくなりました」と説く。
また、サラダについては、仕込み以外の成果も得ている。女性客が増えた昨今は、昔のようにキムチとナムルで野菜料理を済ますわけにはいかず、彩りと健康を演出するサラダは肉同等の重要な位置付けにある。
「808ファクトリーのレタスは身質がしっかりしてパリッとした食感が心地よい。ドレッシングなどの水分に負けないので、へたって沈むことがなく、盛り付けで立体的な見栄えが引き立ちます」と語り、加えて「無農薬栽培で安全が担保されているので、レタス自体をブランド感覚でアピールできるのも強みですね」と太鼓判を押す。
新店の藤枝駅南口店(24卓・132席)では、グリーンリーフレタス、フリルレタスともに1週間で約10kgずつを使い切る。気になる原価については「物流条件によると思いますが、仕入れ値は以前とほぼ同じ」と語り、「葉野菜は天候により価格が変動しますが、808ファクトリーのレタスは価格一定なので、年間換算のコストメリットは大きい」と推す。
焼肉店の即戦力として注目すべき導入事例といえよう。
●店舗情報
「焼肉飯店 京昌園」
本社:静岡県富士市瓜島町52
藤枝駅南口店:静岡県藤枝市前島1丁目1818 アスティ藤枝2階
●異常値の伸び率で青果売場の顔役に 安全・簡便・一定の三位一体
商品部青果部課長バイヤー 猪又有純氏
静岡県内に食品スーパー34店舗を展開する「しずてつストア」は、「地産思送」(地域から産まれた思いを送る)を題目に掲げ、地元食材の販売に注力している。その一つとして808ファクトリーの水耕レタスも並んでいるのだが、発売した2014年以来、販売実績・年率二桁増が続いており、いまや青果売場の顔役に台頭している。
人気要因について、猪又有純・青果バイヤーは「安全・簡便・一定の三位一体に尽きる」と言い切る。
まず、無農薬栽培で安全が担保されていること。無農薬に加えて雑菌を遮断した密閉空間で栽培されているので、生育時に負担がかからず、出荷後の鮮度維持(日持ち)が長い。
次に、消費者の簡便ニーズが強まっていること。洗わずに使える利点が大きいのだが、カット野菜と異なり原体売りなので、調理志向を問わず幅広く受け入れられている。
そして、価格・品質がブレないこと。近年、天候不順により葉野菜の価格・品質が乱高下しているが、計画生産の808ファクトリーのレタスは年間通して価格・品質が一定なので、消費者は迷わずに安心して買える。
猪又バイヤーは「ここ10年くらい、野菜もフルーツもカット商品の販売数が年率二桁増で推移。特にキャベツは千切りが半数を占めるほど。808ファクトリーのレタスは、それらを上回る異常値ともいえる伸び率で売れています」と明かし、「安全・簡便・一定に加え、ロス・ムダ・ゴミが出ない・使い切りニーズ・が強まっており、その条件に808ファクトリーのレタスは見事に合致している」と説く。
使われ方は、サラダや弁当が一般的だが、意外に多いのが行楽需要だという。バーベキュー向けにまとめ買いされることも珍しくなく、袋入りのままスナック感覚でちぎって食べる人も多いそうだ。
また、青果売場での人気に追随して、惣菜売場でも808ファクトリーのレタスの活用を模索している。808ファクトリーのブランド力を生かして「レタスが主役になるミールサラダを開発中」(伊藤新治郎・デリカバイヤー)だと言う。
静岡県を代表するスーパーと連携を深めている808ファクトリーのレタスは、ご当地野菜の一翼に突き進む勢いだ。
●店舗情報
「しずてつストア」
本社:静岡市葵区末広町95番地
静岡県内34店舗
◆青果卸インプレッション
●欠品や価格変動のリスクを解消 人手不足解消とHACCP義務化の即戦力 価格差以上の付加価値を実感
(株)つま正 取締役営業部長 小山正和氏
これまで多くの水耕野菜を見てきたので、808ファクトリーのレタスを紹介された時、正直、あまり期待していませんでした。どうせ従来品と変わらないだろうと。
ところが実際に工場を見学して驚きました。これほど大規模な清浄・密閉空間で栽培される事例は珍しく、水耕で肝心な水質(南アルプス伏流水)も理想的。しかも竣工からわずか3年だという。「後発の利」を実感させられましたね。
水耕野菜は「計画栽培で価格安定」と評されますが、実際は小規模の工場も多く、露地物の不作が影響して、欠品することも珍しくありません。反対に露地物が豊作だと、割高に感じて引き合いが弱まる。いずれにせよ年間契約の決め手に欠けているのが実情です。
対して808ファクトリーのレタスの生産能力は1日2万株。工場は東名阪の中間に立地し、増設増産も視野に入れていると聞きます。これだけ大規模だと、飲食店は欠品や価格変動を心配することなく、安心して年間契約を検討できると思います。
当社は横浜を拠点に飲食店を得意先に持つ青果卸。首都圏に車両50台を有し配送営業に務めています。その中で一番強く感じていることは、厨房における省力化の要望です。人手不足と人件費アップ、今後のHACCP義務化を踏まえると、省力化改革は待ったなしの状況でしょう。
無農薬で安心、菌数が極めて少なく洗浄不要、年間通じて価格と品質が一定。これらを満たした808ファクトリーのレタスは省力化改革の即戦力といえます。仮に多少割高だとしても、在庫管理や仕込みの手間、消費者の安全志向を踏まえれば、価格差以上の付加価値があるでしょう。
●会社情報
(株)つま正
所在地=横浜市神奈川区神大寺3-31-25