メニュートレンド:漆黒の“魔女の鍋”! ブラックフードで美を追求
感度の高い店を中心に、黒々とした風体の“ブラックフード”をメニューに導入する店が増えている。黒い食材には、ポリフェノールの一種である、黒い色素のアントシアニンが含まれていることから、黒色のスーパーフードを組み合わせて作る“ブラックフード”は、美と健康に良いメニューとして、17年ごろからアツく注目されているのだ。「かまくら 秋葉原店」でも、10~2月の秋冬メニューとして、「3種の貝 ブラック鍋」を販売している。
●パワーサラダも鍋料理に
「3種の貝 ブラック鍋」は、美容成分たっぷりのビューティー鍋だ。具材は、黒ニンニク、黒豆、黒米、ワイルドライス(黒く長い米)、ムール貝などのブラック食材に、ムール貝、ホンビノス貝、カキ、白菜を合わせ、黒ごまペーストとイカスミで風味と色を付けた黒いスープで仕立てている。黒々としたその色から洋風の味をイメージしてしまうが、スープはごまの香りが染みたちゃんこ鍋を思わせる和風醤油味。どっさりと入った貝のだしがよく染みていて、ワイルドな見た目を良い意味で裏切るやさしい味わいだ。黒米とキヌアの食感が心地よく、スープをさらにおいしく引き立ててくれるのもいい。
同店を展開するリン・クルーの樋本猛雄総料理長によると、「黒い食材は脂質の代謝を高めたり、体の酸化を抑える効果がある」とされていることから、「抗酸化作用のあるアンチエイジング食材をたっぷり使い、インパクトがありつつ、美容効果の高い“漆黒の鍋”を目指した」という。実際の美容効果もさることながら、漆黒の鍋をぐつぐつ煮るその様子は童話に出てくる魔女の鍋を想起させ、そのイメージと相まって「体に良いものを食べている!」と思わせる不思議な説得力があるのだ。
また、同店の彩りと健康感を追求した「やわらかラムと野菜の生姜豆乳鍋」もユニーク、のひと言。「パワーサラダを鍋にした」(樋本総料理長)という、花のような見栄えが目を引く鍋だ。具材は、白菜、ロメインレタス、紅芯大根、パプリカ、ヤングコーン、マッシュルーム、ショウガ、ミニトマト、ロマネスコカリフラワー、スナップエンドウ、アボカドと盛りだくさんの野菜類に、7種のグレインズとラム肉。鍋料理としては異色の具材だが、ショウガを利かせた豆乳ベースのスープと野菜の相性は良く、その華やかさが女性客に響いている。鍋料理は肉や魚にひと工夫加える例が多いが、実は野菜を変化球にしても個性派鍋として完成するというわけだ。
●店舗情報
「かまくら 秋葉原店」 経営=リン・クルー/店舗所在地=東京都千代田区神田佐久間町1-13 チョムチョム秋葉原4階/開業=2008年4月/坪数・席数=77坪・146席/営業時間=17時~23時30分、金・祝前日17時~翌2時、土16時~23時30分、日・祝16時~23時。不定休/平均客単価=3500~4000円
●愛用資材・食材
「純ねり胡麻 黒」 竹本油脂(愛知県蒲郡市)
香ばしい黒スープに欠かせない
「3種の貝 ブラック鍋」の味の決め手に使用されているのがコレ。「滑らかでスープに溶かしやすく、料理に使いやすい。香ばしくてコクのある味わいもバランスがよく、鍋スープの味をいっそう良くしてくれる。黒いスープを演出する上でも欠かせませんね」と、樋本総料理長は言う。
規格=1kg