アポなし!新業態チェック(150)「COMEBUYTEA(カムバイティー)」表参道店

2020.02.03 492号 11面

 ●ツタヤが台湾ティー業界に参入 台湾茶チェーン大手のカムバイとライセンス契約

 台湾で生まれたティー専門店チェーンの大手「COMEBUY(カムバイ)」が、2016年からスタートした上級ブランド「COMEBUYTEA(カムバイティー)」の日本1号店を東京・渋谷区に出店した。日本でライセンス契約を結び、国内展開を計画しているのはTSUTAYA。同社は17年から台湾に進出しており、現地企業と提携して書店とカフェの複合業態など現在5店舗を布陣する。

 今回、同店がオープンしたのは地下鉄の表参道駅に近い小さなビルの1階。道路から大きくセットバックした余裕のあるエントランスを持ち、店内の側面から奥まで外光の入る窓が並ぶ、明るく落ち着いた雰囲気の店舗だ。

 メニューは、ほぼ茶飲料。「ジャスミングリーンティー」「ウーロンティー」「セイロンブラックティー」などの4種類(各450円)と、「キンモクセイウーロンティー」など5種類のフローラルティー(各600円)から茶葉を選び、ブレンドするミルクやジュースなどのドリンク、トッピングを好みで加えて注文する。ブレンドするドリンクは110円(ミルク類)もしくは120円(ジュース類)で、トッピングはすべて70円となっている。同時に3種類まで加えることができるトッピングは「タロイモボール」「こんにゃくゼリー」「ナタデココ」など6種類。茶飲料はホットとアイスの両方に対応し、甘さや氷の量も変えられる。ほかには数種類のフルーツジュースがあるだけで、フードメニューはない。厳選された茶葉や食材を使用し、カスタマイズできることが特徴のスタイリッシュなティー専門店だ。(価格は税抜き)

 ★けんじの評価 タピオカ売りにしない上級ブランド

 都市部ではすでに飽和状態とも思える日本の台湾ティー市場に、新しくTSUTAYAが参入した。同店のある原二本通りと呼ばれる裏通りはセンターラインのない狭い道路だが、車の交通量が少ないため古くからセンスのよい店舗が点在する。近隣には、デンマークの雑貨店「フライングタイガー」やロンドンのデリカフェ「フランツ&エヴァンス」の1号店なども出店し、近年はおしゃれな雰囲気を演出したい企業が選ぶ出店立地の定番となった。

 「カムバイ」は、台湾の長沂國際實業股〓(フン)有限公司が02年に台北で立ち上げた台湾茶の専門店ブランド。現在はアジアや欧米に290店舗以上を展開している。創業者の陳昆池氏は日本びいきであるとのことで、「カムバイ」の店名も日本語の「乾杯」から名付けられたそうだ。まだ100店舗に満たない10年ほど前から日本への出店を模索しており、主力ブランドの「カンバイ」は13年にホットランドとの契約で日本に上陸しているが1年ほどで撤退。今回、TSUTAYAが出店した「カムバイティー」はその上級の派生ブランドで、世界各地で13店舗を展開している。

 「カムバイ」は、茶葉に適した圧力と温度で抽出するティープレッソマシンや、茶葉を粉砕するティーグラインダーなどの機器を独自に開発し、機械化された店舗が特徴。食材の品質にこだわり、タピオカを売りにしないブランドで日本に再上陸した。茶飲料よりもタピオカが流行の中心である現在の日本で、果たして茶飲料そのものを楽しむ台湾の食文化が受け入れられるだろうか。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「COMEBUYTEA(カムバイティー)」表参道店

 開業=2019年9月21日/所在地=東京都渋谷区神宮前4-9-3 清原ビル1階

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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