多忙でも読める外食ニュース

2020.06.01 496号 04面

 ●緊急事態宣言を受け、大手チェーン各社、自粛対応さまざま

 4月7日に緊急事態宣言が出された後、外食チェーン各社の対応はいくつかに分かれた。ファストフードでは、マクドナルドが全店で、KFCが一部店舗を除きイートイン営業を休止、テイクアウトのみを行う営業に切り替えた。カフェチェーンでは、ドトールコーヒーが直営店と一部FC店舗で営業を休止、スターバックスコーヒーは特定警戒都道府県の店舗で営業を休止した。居酒屋チェーンでは、ワタミが当初、7都道府県での直営店営業を休止し、その後、全国の直営店に拡大。また、鳥貴族は直営店全店の営業を休止、TCC店と呼ぶFC店舗にも営業の自粛を要請している。

 これらの大手チェーンは、短期的には多数の店舗営業を休止したところも多く、今後の影響が懸念される。「ガスト」「サイゼリヤ」などファミリーレストラン大手は営業時間の短縮などによる対応を実施し、全面的な休業は行っていないチェーンが多い。いずれの企業も、政府や自治体が発表する感染状況などを踏まえて、一部でテイクアウトやランチのみ営業を実施したり、順次営業店舗を拡大するなど、臨機応変な対応を検討している。

 ●飲食店など対象の支援策、政府・自治体が策定

 政府や各自治体から飲食店に向けた支援策が発表されている。経済産業省が所管する「持続化給付金」は、飲食店に限らず事業の継続が困難となった事業者を対象として、法人200万円、個人事業主100万円まで、昨年の売上げからの減少分を上限として支給。条件は、2019年以前から営業していたこと、月商が前年同月比で50%以上減少していることなど。中小企業基盤整備機構の「小規模事業者持続化補助金〈コロナ特別対応型〉」は、すでに2回の受付を実施、今後も断続的に公募を行う予定。

 また、各自治体が独自に休業や営業時間短縮に協力する企業に向けて数十万円程度の「感染拡大防止協力金」を交付しているが、これはすでに申請が締め切られているものも多い。東京都中小企業振興公社では、新たにテイクアウトやデリバリーを始める飲食店に向けて業態転換支援事業を実施。限度額は100万円で、年末に向けて期間を区切りながら申請を受け付ける。いずれも、小規模な飲食店の経営者からは、金額の少なさや手続きの煩雑さ、支給の遅さなどに関する不満が上がっている。

 ●コロナ影響下の売上げ対策、外食各社の模索が続く

 今回のコロナ禍を受けて、外食企業各社はさまざまな対応を模索している。店舗の休業や営業縮小に伴ってテイクアウト、デリバリー、通販などを次々と導入し始めた。カフェやディナーレストランの大型店を有するバルニバービやHUGE、グローバルダイニングなどが、対象店舗やエリアなどを限定してテイクアウト営業やデリバリー販売を開始。また店舗外の販売には不向きな麺類業態でも、ラーメン専門店の「AFURI/阿夫利」が通販によるミールキットの販売をスタート。

 つけ麺の「三田製麺所」は、持ち帰り用の食器を使ったテイクアウト販売を始めた。ロッテリアはバーガーの具材であるエビカツやポテトなどを、牛角では肉の盛り合わせとタレをセットで、いずれも自宅で惣菜として利用することを想定して販売。また、ジョエル・ロブションのパティスリー&ブランジェリー業態である「ラ ブティック」は、一部店舗でウーバーイーツを利用したサンドイッチなどのデリバリー販売を始めている。

 ●大手チェーンが役員報酬などの減額を打ち出す

 新型コロナウイルスの影響により、外食業界は大幅な業績の悪化に直面している。この状況を受けて、大手チェーンでは役員報酬の減額などを打ち出す企業が相次いでいる。すかいらーくホールディングスは代表取締役会長兼社長の月額報酬30%減額を筆頭に、取締役、執行役員、関連会社役員などが10%~20%の減額を6ヵ月間実施することを決定。

 ゼンショーホールディングスでは代表取締役が月額報酬の50%、グループ会社を含む取締役、役員などが5%~20%の減額を5ヵ月間実施すると発表した。また、幸楽苑は役員報酬を3ヵ月減額するだけではなく、同期間に正社員の給与も減額し、今年の夏季賞与の支給を取りやめることを労組と協議の上で決定している。

 ●外食企業が食品スーパーに従業員を派遣

 緊急事態宣言が出された後、営業の縮小を余儀なくされている外食チェーンの中には、食品スーパーに人員を派遣するという対策を打ち出す企業が現れている。食品スーパーでは来店客が急増するなど店舗運営の負荷が増している。ワタミは、神奈川を拠点として1都3県に48店舗を展開する食品スーパー「ロピア」と従業員の出向契約を締結。

 また、埼玉に本社を置き関東圏に110店舗以上を展開する食品スーパー「ベルク」は、惣菜分野で提携している外食企業スパイスワークスの従業員を短期アルバイトとして受け入れると発表した。食品スーパーの多くは、外出自粛による食品や日用品の需要拡大で来店客数が増加しており、店舗運営の人員確保が緊急の課題となっている。

 ●リニューアルの商業施設コロナ禍で全面開業を延期

 新型コロナウイルスの影響で、4月の開業が延期となっていた神奈川・横須賀の商業施設「コースカベイサイドストアーズ」は、5月中旬より食物販など一部の店舗の営業をスタート。同施設は昨年3月に休館した旧「ショッパーズプラザ横須賀」がリニューアルしたもの。もともと1991年にダイエーが開発した商業施設だったが、今回、香港を拠点とする不動産投資会社アジア・パシフィック・ランドがフードホール風の大規模な食物販と飲食のゾーンなどを導入し、リニューアルオープンの計画であった。

 ●飲食店に期間限定で酒類販売の免許を交付

 国税庁は、売上げが減少している飲食店の救済策として、期限付きの酒類小売業免許を付与する措置を決定した。本来であれば、飲食店はアルコールメニューのテイクアウト販売を行うことができないが、特例的に簡易な手続きで免許を付与する。この免許は6ヵ月間有効で、申請の期限は6月30日まで。ワンダーテーブルの「よなよなビアワークス」が赤坂店でクラフトビールのテイクアウト販売をスタートするなど、すでに導入を始めた企業が出ている。

 ●ロイヤルホールディングス不採算店の閉店計画を発表

 「ロイヤルホスト」「天丼てんや」などを展開するロイヤルホールディングスは、4月から政府が打ち出した緊急事態宣言後の営業状況を踏まえて、今後も収益が見込めない不採算店舗約70店を閉店する計画であると発表した。同社は外食事業のみならず空港ターミナル事業、機内食事業、ホテル事業なども業績が悪化した。このほか、同社では経費の削減や設備投資の見直し、役員報酬の減額、グループ全体の構造改革などを含めた総合的な緊急対策を取りまとめ、発表している。

 ●飲食店の料理をタクシーでデリバリーが特例で可能に

 国交省は、外出自粛により利用客が激減したタクシー事業者に対して、有料で飲食店のメニューなどを配送するサービスを特例的に認める決定をした。これは同時に、売上げが減少している飲食店の店舗外販売を支援することにもつながり、大手ではWDIなどが一部の店舗でこのサービスを利用したデリバリー営業を導入している。この特例は当初の期限が延長され9月まで実施されることとなった。5月1日の時点で、全国で約900社のタクシー会社が許可を受けているという。

 ※記事は一部の固有名詞を省略

 編集協力:株式会社EATWORKS(入江直之、岡野恵子)

 http://www.eatworks.com/

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