アポなし!新業態チェック(154)「黒糖彪」吉祥寺店

2020.06.01 496号 11面

 ●アントワークスがタピオカ市場に参入 中国系企業グループと合弁法人で出店

 「伝説のすた丼屋」「デンバープレミアム」など、肉系ブランドを中心として国内外に約130店舗を展開するアントワークスが、タピオカ飲料の分野に参入した。昨年12月、同社が東京・吉祥寺に出店したのは台湾発のタピオカドリンク専門店「黒糖彪」。同ブランドを日本国内で展開するため、アントワークスは中国系企業BODUO HOLDING(ボードー ホールディング)グループの子会社など2社と合弁会社を設立している。

 「黒糖彪」の売り物は、タピオカをクラッシュした「黒糖彪ミルクフラッペ」(M・550円)。黒糖タピオカとミルク、氷を入れたドリンクをブレンダーにかけてフラッペ状にし、大粒の波覇(ボバ)タピオカをトッピングしたオリジナルメニューだ。定番のミルク系はほかに、「黒糖タピオカミルク」(M・550円)「チョコクランチ黒糖タピオカミルク」「マンゴー黒糖タピオカミルク」(各M・580円)など4種類で、フォームミルクをトッピングしたドリンクもある。ジャスミン茶のフルーツティー(各M・550円、L・620円)や、波覇タピオカをメインにしたドリンクが数種(各M・480円、L・550円)。「タロイモラテ」や日本限定の「宇治抹茶ラテ」(各M・480円、L・550円)などのラテ類。多くはホットでも注文できる。

 もう一つ同店を特徴づけているのは、店頭に設置された大きな「彪」の顔だ。窓口で注文したドリンクは、この黄金色の「彪」の口から受け渡される。注文を手にするには、勇気を出してブランドのシンボルである彪の口に手を入れなければならない、という趣旨なのだという。(価格は税抜き)

 ★けんじの評価 「すた丼」中国出店の足掛かりにも

 ここ1年ほど、タピオカドリンクが大ブレークしている。大手チェーン資本から個人商店のような店まで、ブームにあやかろうと参入が続き、日本のタピオカ飲料市場は乱立といっていいほどの過熱状態だ。おそらく近い将来、その多くが淘汰され、数ブランドが残るのみとなるだろう。嗜好(しこう)品の飲料は必須の食品ではないし、日本には低価格な飲料を販売するコンビニや自動販売機が全国に数限りなくある。ブランド戦略に長けた企業だけが生き残るのは必然だ。タピオカ飲料といっても、タピオカはあくまで材料の一つであり、実際に販売されているのは茶飲料なのだ。ブームの後に訪れるのは、アジア風の紅茶(醗酵茶)需要の拡大とコモディティ化なのかもしれない。

 ボードーグループは香港・台湾・ヨーロッパを中心に、さまざまな店舗ブランドを世界で1万5000店舗以上も出店している企業グループだという。アントワークスは同グループと中国でも合弁会社を設立し、アジア圏に同社の「伝説のすた丼屋」を出店する計画らしい。同社としては、実はこの相互提携が大きな狙いだったのではないだろうか。いずれにしても、ウイルス拡大で停滞した日中の経済活動が元に戻るまで、大きな動きはないのだろう。

 「黒糖彪」は海外に約80店舗を出店しているそうだが、どうやら英語名や店舗のデザイン仕様などが今回の店舗とは少し異なっているようだ。海外で使用されている卵形の容器は日本に導入されないのだろうか。「黒糖彪」のドリンクはおいしかったが、何より営業時間短縮の中、一人で店舗を守る女性スタッフの笑顔に心打たれた。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 店名=「黒糖彪」吉祥寺店

 開業=2019年12月20日/所在地=東京都武蔵野市吉祥寺本町1-1-10 ダイヤ街6階

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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