メニュートレンド:1人1台コンロでお客自らが焼く!ステーキ
1人1台のロースターで焼く“一人焼肉”の店が2018年にブームを巻き起こし、すっかり定着したが、東京・渋谷区の「MANDYS CUBE STEAK」は、ちょうど同じ年に誕生した“一人ステーキ”の行列店だ。テーブル上のコンロでステーキを個々に焼き、熱々状態をいただくという、ニューノーマルにも対応した新しい提供スタイルのステーキ店である。
●目の前で熱々ステーキ
「MANDYS CUBE STEAK」を展開するオリエンタルフーズの松尾満治社長は、ステーキと焙煎カレーのチェーン店「ふらんす亭」の創業者。「ふらんす亭」の経営から一時、離れていたが、19年に再び運営を手掛けている。そんな松尾社長が長年、ステーキを提供してきた中で、「ステーキは鉄板が冷え、食べている途中で必ず冷めてしまう。大きい肉ほど冷める。これを改善できないものか」として立ち上げたのが、1人1台のコンロでステーキを焼きながら食べる「MANDYS CUBE STEAK」だ。ヒントになったのは、旅館などで鍋物やミニ鉄板焼きを個々に固型燃料で加熱する提供方法。このやり方をアレンジし、「厨房でステーキの表面を焼き固めるように強火で焼き、あとは卓上のコンロで弱火で加熱して各自が好みで焼き上げる」のが同店の手法だが、ステーキのベストな焼き方から考えても、理に適っている。
卓上に置かれたコンロは特注品で、固形燃料に火を付け、目の前でステーキを焼きながらいただくのは楽しい。固形燃料の火が消えるとちょうどウェルダンに焼き上がるそうだが、それ以前に火を止める特注の火消しも用意されていて、好みの焼き加減になる。厚手の鉄製スキレットを使っているため、火が消えても保温効果は高く、食べ終わるまで熱々の状態が続く。
看板メニューの「ヘルシーサービスステーキ」は、250g、500g、750gとメニュー展開している。「ステーキはやはり大きくて、分厚い肉の塊を豪快に味わうのが醍醐味。本当は500g以上のボリュームのあるステーキを、シェアして食べてほしい」と松尾社長は言うが、ウィズコロナの現状、「シェア料理はまだ厳しいですね…」と、残念がる。ステーキ肉の切れ端を店でミンチにして作った自家製ハンバーグをチーズでグツグツと煮込む「フォンデュハンバーグ」も大人気で、「見た目に映えることもあって、ステーキよりこっち目当てのお客さまも多い」と、苦笑する。
飲食店におけるステーキのメニューイメージを変えるような同店のこの提供スタイルは、今後、他店にも広がっていくか。要注目である。
●店舗情報
「MANDYS CUBE STEAK(マンディーズキューブステーキ)」 所在地=東京都渋谷区宇田川町34-6 M&Iビル1階/開業=2018年11月/坪数・席数=10坪・20席/営業時間=11時~22時、日・祝11時~21時30分。不定休/1日平均集客数=100~150人
●愛用資材・食材
「固形燃料クリーン(10g)」 ニチネン(埼玉県上尾市)
ステーキの焼き加減自在
同店のコンロに使用。火が付かない、途中で消える、火力が強すぎるといったトラブルは今まで皆無、という優秀アイテムで、「小さい形状で場所を取らず、手入れも不要なので扱いやすい。この燃料1個でレアからウェルダンまで、火がしっかり持続します。火の大きさや熱量も、当店のスキレットとコンロにぴったりです」とスタッフは言う。
規格=10g