海外通信 外食ビジネスの新発想(44)流行のテイスティング・メニュー専門店 1晩20人限定
●シェフおまかせ料理を一皿一皿楽しむ
今はやりのテイスティング・メニュー。シェフおすすめの小ぶりの料理で構成されたおまかせコース料理だ。このテイスティング・メニュー専門店「レイキナ」が、ヒューストンにお目見えした。だれかのお宅の客間に招かれたような雰囲気のダイニングルームで、シェフのトーマス・ステイシーが丹精込めて作る創作料理を一皿一皿楽しむ。バックには、それぞれの料理に合わせて選ばれたBGMが流れる。壁には地元のアーティストの描いた絵画が飾られている。日常を忘れ、視覚と聴覚、味覚を同時に楽しませる演出だ。
簡素、自然、脱俗をテーマに、「ヨーロッパのレンズを通したアジアのフレーバー」という料理を提供。2ヵ月ごとに変わるメニューは8品ある。メニューの一例は以下の通り。
・ノースカロライナのカキに酒とシトラスを混ぜたミニョネットソースとコリアンダーオイルをかけた一品
・パイナップル、ショウガ、バジル、シャンパン・ヴィネガーであえたブリの刺身(写真1)
・エビのリゾットを詰めて揚げたイカリング、フリゼ・サラダをのせ、ガーリック・シーザードレッシングをかけた上に、パルメザン・チチャロンをのせた一品(写真2)
・鶏の肝のムース、ラディッシュのキムチ、フォアグラとデザートワイン、ライチを添えたもの
・レタスの上にクラブケーキを並べ、オレンジ味噌ブラウンバターとヌクチャムをかけた一品(写真3)
・ヴィネグレットを絡めたラディッキ、薫製してからバターで炒めたナスを重ね、セサミハニー、クルミをのせた一品(写真4)
・チャーシュー、チェリーワインのコンポートの包子(パオズ)、ココナツプディング、フェンネルのピクルス(写真5)
・抹茶ホワイトチョコレートムース、ショートブレッド・タート、ネクタリンのソルベ
テイスティング・メニューは、コロナ禍の最中から注目されてきた。自宅で食べる手料理やテイクアウトに飽きた人々が、プロの料理人が丹念に時間をかけ、創意を凝らして作るコース料理を、日常とは異なる空間で堪能してみたいという欲望に合致する。料理人側にとっても腕前を発揮できる上に、客全員に一律の料理を出すわけだから、コストも労力もセーブできる。
同店では、定員20人で、午後7時半から8品のディナーが始まる。1人150$(税・サービス料別)。ワインのペアリングは別途89$。ちなみに店名の「レイキナ」は、日本語の「霊気+肴」からきている。英訳して「divine snacks」。ステイシーの目指す料理だ。
●店舗情報
「レイキナ(ReikiNa)」
所在地=799 Town & Country Boulevard Suite 200,Houston Texas 77024











