メニュートレンド:「揚げたて」こそ正義! じゅうじゅうカリッと熱々

2021.10.04 512号 02面
写真1 写真奥=いか肝焼めし 1,200円(税抜き)、写真手前=揚げたて栃尾揚げ3種全部盛り 880円(税抜き) 左から、おろしネギ、しそチーズ、焦がしネギ味噌

写真1 写真奥=いか肝焼めし 1,200円(税抜き)、写真手前=揚げたて栃尾揚げ3種全部盛り 880円(税抜き) 左から、おろしネギ、しそチーズ、焦がしネギ味噌

約110℃の低温の油で10分程度かけて生地を膨らませるように揚げ、その後、170~180℃の油に沈めながら何度かひっくり返し、表面を油でコーティングするように揚げる

約110℃の低温の油で10分程度かけて生地を膨らませるように揚げ、その後、170~180℃の油に沈めながら何度かひっくり返し、表面を油でコーティングするように揚げる

栃尾揚げの生地。これを揚げる技術を持つ調理人は都内にはあまりおらず、そのため、都内のイベントで栃尾揚げの屋台が出る際には、勝俣社長が駆り出されることも多いという

栃尾揚げの生地。これを揚げる技術を持つ調理人は都内にはあまりおらず、そのため、都内のイベントで栃尾揚げの屋台が出る際には、勝俣社長が駆り出されることも多いという

 新潟県栃尾地区の名物「栃尾揚げ」を、注文が入ってから揚げて提供するという、県外では珍しい店が東京・高田馬場にある。「あげ屋」は、看板に「全国唯一揚げ立て栃尾揚げ」を掲げ、栃尾から取り寄せた生地を店内で揚げて提供。他県の名物ながらも、“揚げたて”という要素を加えたことで、お客を呼び込む堂々たる看板メニューになっているのだ。

 「あげ屋」を展開するプラスフードシステムの勝俣賢治代表取締役社長は14年ほど前にある大型公園で開催されたイベントの屋台で、揚げたての栃尾揚げを食べて衝撃を受けた。「だし醤油と一味唐辛子で食べる栃尾揚げでしたが、揚げたてが本当においしくて感動した。これはぜひ、店の看板メニューとして出したい、と思った」という。すぐに話を進め、新潟県内の名店での修業が許された。約1年間かけて東京から通いで修業を重ねて揚げる技術を習得したのちに、2009年に栃尾揚げを名物料理に据えた同店をオープンした。

 栃尾揚げの生地は新潟県の専門店から直接仕入れ、注文が入ってから揚げるのにこだわっている。勝俣社長によると、「栃尾揚げの生地を製造している所は県内でも数ヵ所しかない、と聞いている」そうで、「出来上がっている栃尾揚げを揚げ直すのではなく、生地からの揚げたてで出す居酒屋は、全国でもうちぐらいですよ」と、胸を張る。

 生地の仕入れルート以外にも、外食店が栃尾揚げを揚げたてで提供するのには課題があった。通常の栃尾揚げは長さ約20cm、幅6~8cm、厚さ約3cmほどの大きさで、40分以上かけて二度揚げするが、居酒屋では調理にそこまで時間をかけるのは現実的ではない。そこで同店では、生地をあらかじめ4等分に切り、小ぶりサイズにしたものを揚げることで調理時間を短縮。低温の油で約10分間、さらに高温の油に沈めるように約10分間揚げるという王道の二度揚げの製法を守りつつ、調理時間は20分に抑えた。

 揚げたての熱々で、表面がパリッとした最もおいしい瞬間を味わってもらいたいことから、「お客さんにはいつも『うちの栃尾揚げの賞味期限は60秒です』とお伝えしています」と、勝俣社長は笑顔で語る。

 ●店舗情報

 「あげ屋 高田馬場店」 経営=プラスフードシステム/店舗所在地=東京都新宿区高田馬場2-16-3 柏ビル2階/開業=2008年/坪数・席数=30坪・98席/営業時間=16時~23時、土・日・祝12時~23時30分。月曜休(臨時休1日)/平均客単価=5500円/1日平均集客数60~70人

 ●愛用食材・資材

 「かつおぶし醤油 蘭」

 三崎屋醸造(新潟県長岡市)

 栃尾揚げにはやっぱりコレ!

 老舗醸造蔵元の高級鰹節醤油。さらりとしたやわらかい味わいで、栃尾地域の油揚げ専門店の多くで愛用されている。同店でも栃尾揚げにさっと回しかけて提供。「やっぱり、栃尾揚げにはこれですね。カツオだしが染みていて、栃尾揚げと相性抜群です。風味がよく、煮物の調味にも使っています」と、勝俣社長。

 規格=1L

 【写真説明】

 写真1:「いか肝焼めし」栃尾揚げとともに産地直送の鮮魚や創作料理も自慢。イカのゴロ焼きとご飯を混ぜるイメージで考案したというこちらも人気

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