「昭和モダン」のコンセプト具現化のためにシンポ製の上引きフードと埋込式コンロを導入。煙が焼肉のおいしさを演出するが、無煙を維持。カウンター席はお一人様客の獲得だけでなく、厨房から料理を提供できる人手不足対策にもなる。通路も広々していてスタッフも働きやすく、配膳ロボも動きやすい

宴会席は遮蔽（しゃへい）物のない無煙ロースター。天板幅はすべて1メートルと広々している。高齢者の座りやすさを重視して座椅子や卓の高さも考慮している

白樺店名物の「和牛どでかいリブロース」（2,580円・税込み）　焼き網を覆い尽くすほどのドでかさ。現在は白樺店のみの提供だが、他店にも広げる予定だ

「だいじゅ園の牛タン塩」（1,280円・税込み）　海洋深層水を使用して下処理しているため臭みがなく、うま味たっぷりの軟らかい仕上がりに

だいじゅ園白樺店

【愛用食材・資材】「新型上引式フード（SVR）」「埋込ガスコンロ（SPRB）」　シンポ（名古屋市名東区）

　◇話題の焼肉業態

　「いつかは本店以外に3店舗を展開したい」が奈良有祐社長（59歳）の夢だった。奈良社長は大学卒業後、両親に請われて精肉店併設のジンギスカンの店「もん」の後継者として地元に戻る。その後、店名を現在の「だいじゅ園」と改め、2008年に稲田店、14年に木野大通東店を出店。その後、コロナ禍で失いかけた夢が23年10月に「白樺店」として実現。そして「白樺店」は新たな挑戦の始まりでもある。

　●お一人さまから宴会需要まで幅広く対応

　「昭和モダン」が、「だいじゅ園白樺店」のコンセプトだ。店内は木材を生かし、くつろぎの空間となっている。

　「昭和レトロ」ではなく「昭和モダン」は、煙モクモクではなく上引き式フードを使用して煙でおいしさを演出しながら無煙の快適空間を維持。宴会席は顔を見て会話が楽しめるように無煙ロースター卓、またお一人さまやカップルが来店しやすいカウンター席と選択肢を広げている。そのため他店では見られない女性一人客が増えているという。「だいじゅ園本店」が無煙ロースターを導入したのは1997年。それまでは煙モクモクの店舗だった。シンポと出会い、試験的に個室に3台導入し、好評だった。99年の大改修時に全面的に無煙ロースターへ切り替え、22卓を導入。すると1～2年で売上げが2.5倍に伸びた。新店舗は無煙ロースターと上引きフードを1店舗内で使い分け、奈良社長いわく「奈良流無煙二刀流」への挑戦だ。

　また、通路は広々しており、料理の提供などは配膳ロボが活躍、レジはセルフ式でキャッシュレスにも対応、と昭和時代に想像されていた近未来、まさしく「昭和モダン」を具現化した。毎週水曜日だけでなく第2木曜も定休日にし、「休みを増やして給与も増やす。そのための原資として売上げを上げなければならない」（奈良社長）と令和の現代の課題にも挑戦している。そのための工夫が凝縮されているのが「白樺店」だ。

　●店舗情報

　「だいじゅ園白樺店」　経営＝奈良精肉店／店舗所在地＝北海道帯広市西17条南3-47-8／開業＝2023年10月／坪数・席数＝80坪・21卓84席／営業時間＝11時30分～15時、17時～22時30分。水・第2木曜休／客単価＝昼1,400円、夜5,000円

　●愛用食材・資材

　「新型上引式フード（SVR）」「埋込ガスコンロ（SPRB）」　シンポ（名古屋市名東区）

　煙がライブ感演出

　「煙は上に上がるもの。上引きは理にかなっている。吸い込みが悪いと店内がモクモクになってしまうが、そんなことはなく、煙がライブ感を演出してくれる」と奈良社長。「新型上引式フード」は脱着しやすく、中にパイプが入っていて洗浄が簡単だ。また、同社がセット使用を推奨しているのがガスコンロ。「だいじゅ園白樺店」では店員が火力調整をしやすいように「埋込ガスコンロ」を採用している

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