メニュートレンド:普通のおでんはございません 想像の上いく創作おでん

2025.02.03 552号 01面
「だし巻きたまご」は、だしを張り、器ごと炊いて沸騰させることで“踊る”ように動く/「土鍋炊き込み御飯」の具材は日により変わる。写真は、真鯛とイクラ/「ぽてさら」の土台は大根に見えるが、実はジャガイモ。しば漬けとクリームチーズで作るピンク色のタルタルソースの色合いも美しい

「だし巻きたまご」は、だしを張り、器ごと炊いて沸騰させることで“踊る”ように動く/「土鍋炊き込み御飯」の具材は日により変わる。写真は、真鯛とイクラ/「ぽてさら」の土台は大根に見えるが、実はジャガイモ。しば漬けとクリームチーズで作るピンク色のタルタルソースの色合いも美しい

卵を割ると黄身がトロリとあふれ出る

卵を割ると黄身がトロリとあふれ出る

落ち着いた雰囲気の外観

落ち着いた雰囲気の外観

【愛用食材・資材】「純米本みりん 飛鳥山」杉井酒造(静岡県藤枝市)

【愛用食材・資材】「純米本みりん 飛鳥山」杉井酒造(静岡県藤枝市)

 今や、コンビニで気軽に購入できる中食としても定着したおでん。いわば「手軽さと安さがポイントの庶民的なメニュー」という立ち位置だが、大阪の「食卓堂」は、そのイメージに真っ向から対抗する店。「普通のおでんはございません」と銘打つ専門店として、さまざまな創作おでんを考案。高級感ある料理としてのおでんを提案している。

 ●お得な15品コースも好評

 「おでんは、串焼きの田楽から煮込み料理へと発展したといわれており、もともと多様性があるもの。さまざまなジャンルで働いたキャリアを生かしておでんに変換し、喜んでもらえる商品を提供したいと開業した」と、志水寛治店主。志水店主はおでん店では働いたことがないとか。だからこそ既成概念にとらわれない発想が生まれたのかもと感じさせられる。

 同店の“創作おでん”は、想像の上をいく。例えば「冷たい創作おでん ぽてさら」は、だしがかけられていないおでん。だしで煮込んだジャガイモをつぶして丸く成型し、タルタルソースとだしで煮た半熟卵を盛り付ける。ミックスして食べると口中でポテトサラダになるという“ひねり”が利いた一品だ。

 締めには、おでんだしで炊く「米のおでん 土鍋炊き込み御飯」を用意。コメを主役に、炊き込んでも粒感が生かされる素材をと、米穀店に京都産ヒノヒカリをベースにしたオリジナルブレンド米を依頼している。おでんだしをかけて、だし茶漬けにしてもイケる。

 メニューには「これはどんなおでん?」と聞きたくなる商品がズラリ。価格は高めだが、「他のおでんと比較されないのも、うちの商品の強み。ここだけのものを提供しているので、メニュー単価を上げやすい」と、志水店主。アラカルトよりもお得な、15品5500円のコースもあり、コース利用も多いという。

 2024年11月には、2店舗目として立ち食いそば店「そばう」も開業。客単価は1000~2000円で、こちらも一般的な立ち食いそば店とは一線を画す店づくりが行われている。「内容の違う2店舗で、活動の幅を広げていきたい。当店ではサービス力や商品力の向上に励み、もっと楽しいおでんを提案していきます」と、志水店主は意欲を語る。

 ●店舗情報

 「食卓堂」

 所在地=大阪市西区土佐堀3-1-13/開業=2022年2月/坪数・席数=12坪・12席/営業時間=18時~24時。火曜休/平均客単価=5000円/1日平均集客数=20人

 ●愛用食材・資材

 「純米本みりん 飛鳥山」 杉井酒造(静岡県藤枝市)

 だしの甘味が決まる

 同店では、おでんだしに砂糖を使用せず、同品で甘さを決める。「甘さがたちコクがあり、つや感が出る。よりおでんにマッチする味を構築できる」と、志水店主。羅臼昆布と数種の節、薄口醤油と同品で、あっさりした上品な味わいに仕上げている。さらに「飲んでもうまい」と、同品でカクテルも考案して活用している。

 規格=1800ml

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