ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(69)ヘルシーなオートミール 食事にもデザートにも
開店して間もないオートミール専門の店、「オートミールズ」。アメリカでは、オートミールは朝食に食べるものと相場が決まっているが、その概念をくつがえして、ランチにもスナックにも、そしてスイーツとしても食べられるように、メニューを開拓。いろいろなメディアにも紹介され、人気になっている。(外海君子)
●栄養価の高いスチールカットのオートを使用
グリニッチ・ビレッジは、ブルーノートの真ん前に位置する高ロケーションにオープンしたばかりの、NY初のオートミール専門店である同店のメニューは、名前通り、オートミール尽くしだ。ベーシックな朝食用スタイルのメニューの他、食事代わりになるメニュー、そして、デザート代わりのメニューがある。もちろん、自分好みに作ってもらうこともできる。その場合は、まずはサイズ(8オンスの小サイズ=3$50¢、12オンスの中サイズ=4$50¢、16オンス大サイズ=5$50¢)を選び、水もしくは低脂肪牛乳のどちらで作ってもらうかを決めて、トッピングを選ぶ。トッピング2種類までは無料、それ以上は、1種類につき、25¢、もしくは50¢がチャージされる。さまざまなフレッシュな果物、ドライフルーツ、ナツ、チーズなど30種類余りの中から好みのものが選べる。
大半の人は、レディメードのメニューから選ぶ。この場合も、サイズと水仕立てか牛乳仕立てかを選ぶ必要がある。22種類もある目移りするほどの豊富なメニューから選ぶのは至難の業だ。
ハムとグリュイエル・チーズのクロック・ムッシューあり、イチゴやラズベリー、チェリーやカラントをふんだんに使ったフルーツ・ルージュあり、チョコレートチップ、ミニ・マシュマロ、グラハム・クラッカー、チョコレート・シロップ入りのスモアあり、朝食の定番のオートミールが、これほど変化するとは驚くばかりだ。
オーナーのサマンサ・スティーヴンスさんは、学生時代、節約とダイエットを兼ねて、三食オートミールを食べ続けたというほどのオートミールおたく。そのまま食べるのでなく、いろいろ工夫し、七変化させて食べ続けるうちに、オートミールに取りつかれ、いつかオートミール専門店を作ろうと決心。大学では心理学とフランス語を専攻、卒業後、金融業界で働きながら、自分の店を持つことを夢見て、ニューヨーク大学でビジネス・マネジメント、フレンチ・インスティテュート・オブ・アメリカでペストリー・アーツを学んで、いよいよ念願の店をオープン。
オートミールも、イギリスやアメリカでおなじみの平たくしたものでなく、アイルランドやスコットランドで食べられる、全粒をカットしたものを使っている。スチールカットしたものは、調理に時間がかかるが、腹持ちがよく、風味もよく、栄養価も高いという。低カロリーで、ビタミン、ミネラル、繊維が豊富なオートミールは、アメリカでは、以前から健康食品として評価が高い。
材料は、すべてローカル調達したもの。また、店で売っているクッキー、マフィン、クロワッサン、デニッシュ・ペストリーなどは、すべてオートミールやオート麦粉を使って、店内で作っている。
日光のよく入る、大きなガラス窓のある店内は、清潔で心地よく、ヘルシーなオートミールをおいしく食べるのは、至福のひとときだ。
●人気メニュー
「インディアン・スパイス(レーズン、アーモンド、ココナツミルク、ジンジャー、カルダモン、バニラ、ブラウン・シュガー)」(小3$75¢、中4$75¢、大5$75¢)
「パンプキン(カボチャのピュレー、ペカンナツ、ブラウン・シュガー、パンプキン・スパイス、牛乳)」(小4$、中5$、大6$)
「カナディアン(ベーコン、チェダーチーズ、ローストしたリンゴ、メープルシロップ、海塩)」(小4$25¢、中5$25¢、大6$25¢)
「トリュフ・リゾット(トリュフ・オイル、クリーム、海塩)」(小3$50¢、中4$50¢、大5$50¢)
「イチジクとゴルゴンゾーラ(乾燥したイチジク、ゴルゴンゾーラ・チーズ、バルサミック・ビネガー・グレーズ)」(小3$75¢、中4$75¢、大5$75¢)
●事業データ
オートミールズ(Oatmeals)/所在地=120 West 3rd Street New York NY/開業日=2012年月7月/営業時間=月~金 午前7時~午後6時、土日 午前8時~午後6時