シェフの食材批評:うさみ亭マツバヤ・宇佐美芳宏店主 米田醤油店「特注丸大豆生醤油 ウサミ印」
●伝統のだし支えるインパクトある風味
大阪発祥の食べ物として有名な、「きつねうどん」。そのメニューを考案したのが、1893年から続く「うさみ亭マツバヤ」(旧・本舗松葉屋)の創業者、宇佐美要太郎氏である。現在の店主、宇佐美芳宏氏は、3代目として、祖父と父が作った老舗の味を受け継いでいる。
大阪うどんは、“だしが命”。同店では、鰹節や昆布などのベースになる材料はもちろん、調味料類にもこだわりが。なかでも、ポイントになる醤油として、米田醤油店の「特注丸大豆生醤油ウサミ印」を使用している。この醤油は、先代の辰一氏が、「より店のだしに合うものを」と、米田醤油店と共同開発した商品。昔ながらの梃子(てこ)搾りで製造する、生醤油である。
「魅力は、品質の良さと生醤油ならではのインパクト。多量に使用すると味が勝ちすぎるので、少量でもOK」と、芳宏氏。同店では、播州の薄口醤油7、同商品3の割合で使用して味を調整。色は濃いめだが味は薄味の、同店が目指す“具材のよさを引き出すだし”に仕上がるという。
その他、油揚げは、京都・錦市場から、うどん麺は、九州産小麦粉で自家製造と、材料の1つ1つに歴史があり、調理法とともに継承されている。「自信ある商品を出すためにも、きっちりした材料で手間をかけてが信条」。いつまでも残してほしい、大阪うどんの味である。
●「特注丸大豆生醤油 ウサミ印」
米田醤油店(島根県松江市)
香り高い手づくり醤油
香り高い、手づくりの濃口醤油。地元産の非遺伝子組み換え丸大豆、山口県産の小麦、天日塩を材料に、熟成もろみを搾って製造。化学調味料や保存料などは使用しておらず、素材の味と香りを生かすポイントとして活躍する。要冷蔵。
規格=1800ml
●プロフィール
「うさみ亭マツバヤ」店主 宇佐美芳宏氏
うさみ・よしひろ 1944年大阪府生まれ。22歳から本格的に本舗松葉屋で働き始める。2004年店名を「うさみ亭マツバヤ」に改称。店主として大阪うどんの伝統を引き継いでいる。
●「うさみ亭マツバヤ」
所在地=大阪府大阪市中央区南船場3-8-1