アポなし!新業態チェック(206)「Stand by Mos(スタンドバイモス)」東武池袋駅店
●モスフード、ドリンク売店型の新業態 規格外の野菜などを活用し、都心立地の狭小物件へ出店を狙う
モスフードサービスは、東京・池袋の東武東上線池袋駅構内にドリンク売店型の新業態「Standby Mos(スタンドバイモス)」をオープンした。同店は、規格外などの理由で廃棄されてしまう野菜やフルーツを利用し、店内で飲料に加工して販売するドリンクメニューのみの小型店。かねて都心の一等地に出店できる業態を模索してきた同社が、商業施設や駅構内などに客席なしで開業できる店舗として開発した。これまで出店できなかった繁華街の超狭小物件を活用できる新ブランドとして期待を集める。
メニューは9種類。主に規格外のトマトを活用し、パタゴニアソルトを加えた「しっかりトマトなモストマトジュース」(420円)、生野菜はすべて“モスの生野菜”のみを使用という「しっかりベジーなモスグリーンスムージー」(500円)、皮まで食べられる広島・尾道のブランドレモン「せとだエコレモン」を使った「さっぱりリフレッシュ!モスレモネード」(420円)、通常は廃棄となる辛味の強い親ショウガを使用した「ほっこりスパイシーなモスジンジャーラテ」(420円)など、個性豊かなこだわりのドリンクメニューが並ぶ。ほかに、「トマト」や「バナナミルク」など3種類の「スムージー」と、すでにモスバーガー店舗でも販売している「シェイク」メニュー2種類を取り揃えた。
規格外のサイズや色、表面のキズなどによって除外される野菜を利用することで、食品ロスを低減し、産地や生産者を支援するブランドだ。
(価格は税込み)
★けんじの評価:食品ロス削減し、産地・生産者も支援
創業当時からハンバーガーに生野菜を使用していた同社は、1997年から産地や生産者、栽培履歴などが明確な“モスの生野菜”を導入した。現在では、全国110ヵ所以上の産地から2300軒以上の契約農家を通じて農産物を調達しているという。また、2006年からは地域の生産者と共同で運営する農地所有適格法人「モスファーム」も設立。同社はフランチャイズ加盟店との親密なコミュニティーづくりで知られているが、今回は食材の仕入れ先である契約農家もまた、そうしたコミュニティーの構成メンバーとして扱われている。同ブランドの開発について、「食材の産地と生産者を支援する」という意義が挙げられている背景の一つには、近年の異常気象が農産物の生産に影響を与えていることもあるのかもしれない。
同店が位置するのは、JR山手線・埼京線や西武池袋線、東武東上線、地下鉄丸ノ内線・有楽町線・副都心線などが集まる巨大な池袋駅の地下コンコースから改札を入ってすぐの場所。「モスバーガー」の1号店が成増店であったことから、同社の創業50周年にあたる22年には東武東上線とのコラボ企画が実施され、成増駅を「なりもす駅」と変更するなど沿線では大きな話題を集めた。今回、同店が駅改札内に出店したのもそうした経緯があったからのようだ。
さすがにモスがつくっただけありメニューはどれも秀逸な出来栄えだが、出店に関してはもう少し最適な立地があるようにも思える。2号店、3号店にも期待したい。
◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。
●店舗情報
店名=「Stand by Mos(スタンドバイモス)」東武池袋駅店
開業=開業=2024年8月9日/所在地=東京都豊島区西池袋1-1-21 東武東上線池袋駅 改札内
●編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/