関西版:くら寿司、アメリカに進出 寿司中心の和風レストラン

2008.02.04 338号 19面

 1皿105円の回転寿司「無添くら寿司」を全国に185店舗(07年10月期末)展開する(株)くらコーポレーション(大阪府堺市、電話072・368・6211)が1月17日、アメリカのロサンゼルス市内に、海外1号店「Kula(Sushi Bistro)」を出店した。日本でおなじみの回転寿司スタイルではなく、寿司を中心に提供する和食レストラン。投資額は1億6000万円で、店舗面積273坪の全355席。月商3800万円を計画している。

 「食の戦前回帰」を経営理念にし、前10月期業績が12期連続の増収増益、既存店売上高4.5%増、客数4.6%増と絶好調の同社が、なぜ今海外進出したのか。田中邦彦社長は常に「世界に日本食のヘルシーさ、すばらしさを伝えたい」と、かねてから海外進出を示唆していた。1店舗目に選んだ米国では、現地法人「KRA CORPORATION」を設立し、日本から9人の社員を投入し、同氏が代表者を務める。

 回転寿司のスタイルを取らなかった理由として、「州によって回転レーンを持ち込めない場所があったこと」と「店内改装に費用がかかること」の2つが大きな要因としている。

 1人当たりの客単価をランチ10ドル、ディナー30ドル前後に設定。出店地区がロサンゼルス市内でもアッパーな地域のため、「日本食の店ならもっと価格が取れると、現地の方にいわれたが、お値打ち価格で勝負する。リーズナブルに日本食を提案し、米国内でもビッグチェーンに挑戦する。M&A、またはFCでの展開を進め、約300店舗展開と6年後のナスダック上場を狙う。米国の外食業界で革命を起こす気持ちだ」と、田中社長の熱意は十分。

 初の海外進出ということもあり、周辺状況や客層などを見て随時、メニューのラインアップやコンセプトは柔軟に変更する予定だが、スタート時のメニューは寿司がそれぞれ2貫で、サーモン6ドル、マグロ7ドル、ホタテ8ドル、トロ12ドル。日本で展開のない焼き魚や煮魚などの本格的な日本料理の皿も提供し、焼酎や清酒を使ったオリジナルカクテル(10ドル~)も多数揃える。

 “無添加”回転寿司のイメージが定着した同社だが、海外での和食業態も、企業理念の“無添加”を貫き、化学調味料などの四大添加物を使わないことを前提にしている。米国展開を進めた後は、ヨーロッパやアジアへの進出も視野に入れており、「日本の食文化の代表である『寿司』で、世界の人々の幸せに貢献する企業を目指す」としている。

 一方、既存店売上げが4.5%増と好調な「無添くら寿司」は、職人のいない回転寿司店。完全システム化した店舗管理と、コンピューター制御で最大35分の廃棄が徹底され、安全・安心で効率的な店舗作りを確立している。

 また昨今、食材・原材料費の高騰で課題になるメニュー価格も、同社では今後1~2年は105円のままで展開する考え。魚価が上がる中、取扱いの約半分を半年前に買付けることで、安定供給と価格据え置きが可能という。

 今10月期は、売上高568億円(17.2%増)、経常利益35億円(17.1%増)、出店35の期末店舗数219を計画している。将来構想には、5年先までに九州エリアへ出店し、日本国内で計350店舗展開と、売上高1000億円、経常利益10%を掲げている。

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