メニュートレンド:おやつ感覚のお好み焼き「かしみん焼」 紙の屋
大阪は、お好み焼きの本場。多くの店がさまざまな味を競うなか、岸和田名物の「かしみん焼」を提供する店が、大阪・ミナミに登場している。今までのお好み焼きとはひと味違うスタイルに、粉物好きな大阪人は興味津々。昨年末のオープン以来、人気上昇中だ。古くて新しい、その魅力を探ってみた。
かしみん焼とは、かしわ(鶏肉)と、牛脂のミンチを合わせたネーミング。岸和田でも、昔から一部地域だけで提供されてきたもので、「知る人ぞ知る」というメニューだったという。
その味にほれ込み、「ぜひ、大阪の中心部で紹介したい」と誕生したのが、かしみん焼の専門店「紙の屋」だ。店舗のある千日前は、たこ焼きやお好み焼きの激戦区。そのなかでも異彩を放つこの店は、リピーターが増加中だ。
とはいえ、岸和田の店が進出したのではなく、まったく新しい店舗。開店にあたっては、かしみん焼の元祖といわれる店の味を再現することにこだわったという。
「開店までの3ヵ月半、毎日その店に通い、鉄板の前に立ちました。快く出店を了承してくれたお店のためにも、本当のかしみん焼の味を提供したい」と、店長の黒田宣行さん。
まず、生地をクレープのように薄く焼き、カツオ粉を振りかけ、キャベツの千切りや紅ショウガ、ネギをトッピング。さらに、刻んだ鶏肉と牛脂のミンチをプラスして、返して焼く。仕上げに、ソースと牛脂をかければ出来上がり。粉で膨らませないため、仕上がりはせんべい状で、いわば、おやつ感覚のお好み焼き。実際、1人で2、3枚を食べる人も多いとか。
特徴は、薄い生地ならではのパリパリ感と、鶏肉のコリコリした食感。牛脂が出すコクも、独特のおいしさを演出している。鶏肉は、卵を産んだ後の親鳥である「ひねどり」のもも、むね、皮をブレンド。市場には大量に出てこない商品だが、歯応えなども考えて、こだわって仕入れているという。
メニューは、スタンダードのかしみん焼のほか、卵をのせる「親子」(430円)、オリジナルメニューの「ねぎマヨ」「チーズ」(各430円)も開発。さらに、麺を入れた「モダン」も考案中とか。
「場所柄、幅広いターゲットにウケるアレンジを考えています。でも、あくまでも、かしみん焼のベースは大切にしていきたい。一般的なお好み焼きとは違うのが、最大の魅力ですから」(黒田店長)
今後の目標は、まずミナミで定着して、かしみん焼の認知度をアップさせること。まだまだ成長中の店だけに、今後の店舗展開にも注目だ。
◆「紙の屋」(大阪市中央区難波千日前10-14、電話06・6633・1799)開業=07年12月/営業時間=午前11時(土・日曜、祝日は10時)~午後9時(休前日は10時)、無休/店舗=約16坪・16席/客単価=約800円/1日来店客=約100人/スタッフ=2~3人