ピカイチキッチン(83)調理科学「ブレーズ」 炒め(フライ)と煮込みの2段階調理

2008.06.02 343号 18面

 ●BRAISING

 厨房機器でいわゆる「ブレージングパン」がある。これはブレーズ調理や鉄板焼き、炒め調理をするのに適している機器であり、広く活用されている。では、この「ブレーズ」調理とは一体どのような調理方法であろうか。

 調理の方法は2段階調理である。

 第1段階では、肉や野菜を少量の油で褐色になるまで焼き、これに小麦粉や少量の水または肉汁を加えて炒めるか、フライにするか、またはオーブンで焦げ目をしっかりと付ける。この時、肉に風味や香りを付けるために香草などを一緒に入れることもある。

 第2段階では、この焼いた肉の容器に少量の「ワイン」「ジュース」「水」「だし汁」など適当な液体を加えて「とろ火」でじっくりと煮込む。じっくりと煮込むことで肉質は軟らかくなり食感がよくなるため、使用する肉は、やや硬めの食材を使用する。

 ●使用機器や備品

 ブレーズに使用する厨房機器や用具は、前記のブレージングパンや回転釜、ジャケットケトルなどであるが、小規模の店舗や家庭では、フライパンや手鍋などを使ってガスコンロなどでじっくり煮込むことで十分であろう。

 なお、ブレージングパンは、鍋の部分が円形で底の部分が平らな機種がある。一般的には四角い形状で鍋底までの深さが約20~25cm程度の機種が多い。鍋底の鉄板部分は250度C以上に加熱できるため、鉄板焼き料理(炒め料理)やグリル料理としても活用できる。こうした機器の特徴は、1台の機器の中で2段階調理ができる点であろう。

 さらに、調理中に素材の煮崩れを防止するために、ブレージングパンの中に穴あきホテルを最大4種程度入れて液体の中に入れ煮込む。これによって食材の形を残したまま見栄えよく仕上げることが容易となる。

 例えば、ゆで麺機の中に網状の小さなかごを入れて麺をゆでるが、このかごに相当する部分がホテルパンであり、ゆで麺器の湯にあたるものが煮汁である。カレーを想像するとわかりやすい。

 第1段階ではブレージングパンで肉に焼き目を付け、その後野菜を加えて炒めた後、液体を加えてとろ火でじっくりと煮込む。ブレージングパンでは、ルーの中に野菜や肉を入れた穴あきホテルをこのルーの中に浸して同時に煮込むことによって煮崩れの少ないカレーが出来上がる。

 ところで、国内の大型厨房(産業給食分野や学校給食施設)ではこうした機器をあまり使用していないが、特別な理由があるのであろうか。

 ●ブレーズ料理

 シチュー、カレー、フリカッセ(子牛肉をホワイトソースで煮込んだ料理)などはブレーズ料理の代表で、一般に広く使われている調理法である。

 ((有)本山フードビジネス研究所 代表 本山忠広)

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