夏のカレー特集:メニュートレンド=カレー味の手打ちうどん 「力餅食堂 中崎町店」

2010.07.05 374号 17面
「カレー皿うどん」(手前)と「虎ざる」(奥)。「カレー皿うどん」のカレーも、鶏がらと豚がらから取った自家製スープに、角切りの牛肉、ジャガ芋、玉ネギ、ニンジン等の具材を加えじっくり煮込んだ本格的な味わい

「カレー皿うどん」(手前)と「虎ざる」(奥)。「カレー皿うどん」のカレーも、鶏がらと豚がらから取った自家製スープに、角切りの牛肉、ジャガ芋、玉ネギ、ニンジン等の具材を加えじっくり煮込んだ本格的な味わい

梅田に程近い位置にありながら、下町情緒あふれる「天五中崎通商店街」に立地

梅田に程近い位置にありながら、下町情緒あふれる「天五中崎通商店街」に立地

 京都で1903年に開業した、もち専門店をルーツに、のれん分け制度で店舗数を増やしてきた「力餅食堂」。その数は京阪神を中心に180前後に及んでおり、それぞれの店舗が個性ある店づくりを展開している。なかでも大阪市北区の中崎町店は、カレー粉を練り込んだ手打ちうどん「カレー麺」が有名。カレー麺を使った「カレー皿うどん」や「虎ざる」を目当てに、遠方から訪れるお客も多く、店内には食欲を刺激するカレーの香りが絶えない。

 独立経営のため、店名やロゴマークは同じでも、メニューの内容や味は店舗ごとに異なる力餅食堂。そのなかでひときわ強い個性を放っているのが、「どうせならカレーうどんの『うどん』もカレー味にしたほうがおいしいのでは……」という思いつきから、カレー麺を生み出した中崎町店である。

 見本とするものがないカレー麺の開発にあたっては、「ルーより粉を使うほうがカレーの風味が付きやすい」「カレー粉は生地に混ぜるのではなく、小麦粉に混ぜてから生地にするほうがまんべんなくゆきわたる」など、一からノウハウを見つけ出し、蓄積していくしかなかったという店主の尾上保和さん。特に苦労したのは、「カレー粉の配合量」の見極めだったという。また、「生地の水分調整」も重要。通常のうどんより水の量を「やや少なめ」にするのがコツだが、この「やや」の加減がむずかしく、少しでも多いとベチャッとして、少ないとボソッとした仕上がりになる。

 こうした試行錯誤の末、カレー麺にカレーをかけたカレー皿うどんが誕生したのが約10年前。すると、普通の白いうどんにはない「パンチの効いたのど越し」がカレー好きに受け、たちまちヒット作に。そして3年前には、カレー麺そのものをもっとじっくり味わってもらおうと、「カレー麺のざる」を登場させた。

 こちらは、細麺タイプのカレー麺を、通常のざるうどんと同じように、つゆにつけて食べるもの。カレー風味をさっぱりと味わえる夏向きメニューとして、人気を呼んでいる。さらに阪神ファンの店主が考え出したのが、黄色いカレー麺で虎模様を模した虎ざる。黒い麺には、何とインスタントコーヒーの粉が練り込まれている。

 「うどんにコーヒー」は「うどんにカレー粉」以上に味の想像がつきにくいが、実際に食べてみると不思議と違和感がない。コーヒーの風味というよりコクが生かされた感じで、つゆとの相性もよくツルツルと進む。

 そのつゆについては、通常のざるうどんと同じものより、「白醤油で色、味ともに薄めにしたほうが、カレーの辛さや香りがもっと生きる」ことを最近発見。まさに今、お客の意見を聞きながら完成度を高めているところだ。誕生から約10年、これからも研究と改良を重ねながら、さらにカレー麺を盛り立てていきたいとのことだ。

 ◆店舗情報

 「力餅食堂 中崎町店」/店舗所在地=大阪市北区中崎町1-9-2、電話06・6372・1458/開業=1977年/営業時間=午前11時~午後7時45分、水休/坪数・席数=15坪・28席/1日来店客数=70~100人

 ●愛用資材・食材:白醤油

 カレー風味を引き立てる淡泊な味

 ほぼ同量の小麦と大豆を原料とする濃口醤油や淡口醤油に対し、90%以上の小麦に炒った大豆を少量使用し、低温・短期間発酵させるのが「白醤油」。淡口醤油よりもさらに色が薄く、淡泊な味と高い香りを特徴とする。カレー麺用のつゆを模索してきた「力餅食堂 中崎町店」では、この白醤油をベースとした新しいつゆを考案。「虎ざる」や「カレー麺のざる」の味わいをさらに向上させようと、研究を重ねている。

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