吉野家、「牛鍋丼」(280円)全国発売 客数増で売上げ回復へ

2010.10.04 378号 06面
モニター販売している店舗のバナーでは牛丼と牛鍋丼を大々的にアピールして販売している(東京・新橋)

モニター販売している店舗のバナーでは牛丼と牛鍋丼を大々的にアピールして販売している(東京・新橋)

「牛鍋丼」をアピールする安部社長

「牛鍋丼」をアピールする安部社長

 吉野家は「牛鍋丼」(280円)を全国発売した。200円台のメニューを投入して一気に客数を増やして売上げの回復を狙う。牛鍋丼は、牛丼に白滝と焼き豆腐を加えて甘辛に仕上げており、1899年に吉野家の原点である東京・日本橋の魚河岸で、牛肉を豆腐や野菜と一緒に煮込んだ牛鍋の具をご飯にかけて丼で食べる「牛鍋ぶっかけ」が新商品考案のベースになっている。

 安部修仁社長は、新商品発表会で「吉野家の“うまい・早い・安い”の三原則に劣化があった。低価格を刹那(せつな)的に追うのではない。戦略の思想的背景は低単価。客単価を上げながら客数を落として売上げを下げたと反省している」と現状分析。同業各社の低価格に対応できずに売上げが伸びなかったことを認めながらも、「リーディングカンパニーとしての自負はいささかも変わっていない」と客数増加の緊急措置を皮切りに吉野家再生に取り組む。

 吉野家の3月からの上期5ヵ月の客数は前年比12.3%減、客単価は1.2%減、売上げ13.4%減と、客数減少に歯止めがかからない状況の回復が急務となっている。

 同社の商品設計では、既存の牛丼(380円)、豚丼(330円)は価格を下げても利益に結びつかないことから、既存商品の価格は据え置いて新商品で客数を取りにいく。低価格の牛鍋丼に既存の牛丼がシフトすることへの対策として、第2弾に10月7日「キムチクッパー」(280円)を投入する。

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